
リスクマネジメントにおけるリスク対策の考え方と主な種類
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リスクによる影響から事業を守るためには実施が必要不可欠なリスクマネジメントですが、どのようにリスク対策を考えれば良いのか困っている企業の防災担当者も中にはいるでしょう。
そこで本記事ではリスクマネジメントにおけるリスクの概要と主なリスク対策の種類などを説明していきます。
この記事を読むことで的確なリスク対策を実施するための足がかりとなるので、ぜひ最後まで読み進めてください。
事業を守るために重要なリスクマネジメント
リスクマネジメント(Risk management:リスク管理)とは、災害や事故などのリスク発生に備えて、リスクを特定し、分析・評価に基づいた的確な対策を行うためのプロセスのことです。
事業をリスクから守るためには、このリスクマネジメントを平時から実施しておくことが決して欠かせません。
もしリスクマネジメントを行なっていなかった場合は、リスク発生時に的確に対応できないことで被害が拡大してしまうおそれがあるため、注意しましょう。
詳しくリスクマネジメントを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リスクマネジメントで定義されるリスク
リスクマネジメントの国際規格である「Q 31000:2019」では、リスクマネジメントにおけるリスクを目的に対する不確かさの影響と定義されています。
しかし、中にはリスクマネジメントにおけるリスクをどのように捉えれば良いのか悩んでいる方もいるはずです。
この章ではリスクマネジメントにおけるリスクの概要を説明していきます。
純粋リスクと投機的リスク
リスクマネジメントでは、リスクを純粋リスクと投機的リスクの2種類に分類しています。
【純粋リスク(静態的リスク)】
台風や地震等の自然災害や事故など
【投機的リスク(ビジネスリスク)】
投資や新事業の展開、金利変動など
純粋リスクが事業に損失のみを及ぼすのに対して、投機的リスクは事業に損失または利益をもたらします。
リスクに悪影響を及ぼす事態だけがリスクではないので、被害が発生する事柄のみをリスクだと捉えてしまうと、的確なリスクマネジメントが行えないので、注意してください。
企業に取り巻く主なリスク
リスクマネジメントにおけるリスクの定義は前述したとおりですが、具体的にどういったリスクがあるのか把握できずに困っている企業の防災担当者も中にはいるのではないでしょうか。
企業におけるリスクは、主に以下の種類があります。
【経営リスク】
展開した事業の難航、強力な競合企業の参入、判断ミスによる業績の悪化など
【災害リスク】
地震や台風等の自然災害、操作ミス等の人為災害、交通事故など
【労務リスク】
長時間労働、残業代の未払い、ハラスメントの発生、社員による情報漏洩など
【法務リスク】
優越的地位の乱用、景品表示法違反、虚偽申告、知的財産権の侵害など
【財務リスク】
業績や資金繰りの悪化、金利・為替変動、取引先の倒産による貸し倒れなど
リスクコントロールとリスクファイナンス
リスクマネジメントにおけるリスク対策は、リスクコントロールとリスクファイナンスの2種類に分類されています。
リスクコントロールとリスクファイナンスのそれぞれの意味は、以下のとおりです。
【リスクコントロール】
リスクの発生を防止もしくは発生した場合の影響を最小限に抑える手法
【リスクファイナンス】
発生したリスクによる影響を最小限に抑える財務面における対策
どちらか一方だけを実施しておけば良いということはなく、事業への影響を最小限に抑えるためにはリスクの種類に合わせてリスクコントロールとリスクファイナンスを組み合わせて、的確に対応する必要があります。
リスクマネジメントにおけるリスク対策の種類
事業を守るためには、リスクマネジメントのリスク分析・評価を実施した上でリスクの種類にあわせて的確な対策を実施していかなければなりません。
この章ではリスクマネジメントにおける主なリスク対策の種類を説明していくので、リスク対策の実施で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
リスク回避
リスク回避とは、発生が危惧されるリスクを回避するためにリスクの要因を排除することです。
事業にもたらす利益が少ない状態でリスク発生時の影響が大きい、もしくはリスクの発生頻度が高い場合にこのリスク回避が行われます。
具体的には、リスク回避では以下の対応を実施します。
- 水害リスクの高い地域から高台にある安全な地域へ工場やオフィスを移転する
- 利益よりもリスクの方が懸念される場合に新事業の展開を断念する など
リスク低減
リスク低減とは、リスクの発生を防止または発生した場合の事業への影響を軽減するために行う対策のことです。
例えば、リスク低減には以下の対応があげられます。
- 地震発生時に備えた工場やオフィスの耐震補強
- 事業継続を図るために拠点などを分散させる
- BCP(事業継続計画)の策定と実行 など
事業の継続または早期復旧を図るための計画であるBCPを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リスク移転
リスク移転とは、発生するおそれがあるリスクを第三者に移転することであり、通常は発生する頻度が低くても発生時の影響が大きい場合にリスク移転を選びます。
例えばリスク移転には、以下の対応があげられます。
- 地震や水害などによるリスクに備えて保険に加入する
- 重要なデータをクラウドサービスで保管する
- 社内にある情報システムなどの運用を外部組織に委託する など
リスク移転の1種である災害における保険やリスクファイナンスを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リスク保有
リスク保有とは、発生し得るリスクを把握しながらも具体的な対策は取らないことです。
発生するリスクを許容できる場合やリスク対策にかけるコストよりも損失の方が小さい場合にこのリスク保有を選びます。
全てのリスクに対して対策を実施することはできず、どのような企業もある程度のリスク保有を行なっていると言えますが、リスクによる損害を自己負担する必要があるため、自社だけで対応できるのかをよく考える必要があります。
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
リスクマネジメントで事業に潜むリスクを特定できても、的確なリスク対策を実施できなければリスクの発生によって深刻な事態に陥ってしまうおそれがあります。
リスクによる事業への影響を防ぐためにも、リスクマネジメントを定期的に見直しながらより的確なリスク対策を実施していきましょう。