
リスクマネジメントとして必要不可欠なストレスチェック
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社員のメンタルヘルスが不調に陥ると業務効率の低下や労働災害の発生によって、事業に悪影響を及ぼしてしまうおそれがあるため、リスクマネジメントの一環としてストレスチェックなどを行う必要があります。
しかし、リスクマネジメントにおけるストレスチェックをどのように考えれば良いのか分からず困っている担当者も中にはいるのではないでしょうか。
そこで本記事ではメンタルヘルスの不調が招くリスクとリスクマネジメントとしてのストレスチェックが必要な理由などを説明していきます。
この記事を読むことでメンタルヘルス対策の理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。
メンタルヘルス不調が招くリスクとリスクマネジメントで対策すべき理由
高ストレス者に陥った社員の把握が遅れた、長時間残業が続いていた、など様々な理由によって、社員のメンタルヘルスが悪化してしまうと、以下のリスクによって事業に大きな悪影響を与えるおそれがあります。
- 業務効率の低下
- モチベーションの低下
- 重大なミスの発生
- 労働災害の発生
- 休職による周囲への負担
企業には、労働契約法第5条で正規・非正規を問わずに従業員に対する安全配慮義務が法的に課せられており、予見されるリスクを回避するための対策に講じるなど企業は十分に社員の安全を確保しなければなりません。
【労働契約法第5条】
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
企業が十分に対策できなかったことで社員がメンタルヘルスを悪化・労働災害に発展した場合は、安全配慮義務違反として賠償責任を負うばかりか、状況によっては「社員の安全を考慮していない企業だ」と批判を受けて、以下のリスクに繋がるおそれがあるのです。
- 企業のイメージダウン
- 人材の流出
- 顧客離れとそれに伴う業績悪化 など
そのため、企業はリスクマネジメントの一環としても、ストレスチェックをはじめとしたメンタルヘルス対策に力を入れなければなりません。
リスクマネジメントを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
社員の人数によってはストレスチェックが義務付けられている
厚生労働省が発表する「ストレスチェック制度導入マニュアル」で説明されているとおり、メンタルヘルスの悪化による労働災害の増加を受け、労働安全衛生法第66条の10によって、※50人以上の従業員がいる事業所では、年1回以上のストレスチェックの実施が義務付けられています。
※従業員が50人未満の事業所の場合は、現時点では努力義務です
【労働安全衛生法第66条の10】
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
正規・非正規を問わずにパートやアルバイトを含む同じ事業所で働く従業員(契約期間が1年未満の従業員や所定労働時間が4分の3未満の従業員は対象外)のストレスチェックを行わなければなりません。
ストレスチェックとは、従業員が記入したストレスに関する質問票に基づいてストレスの状態を確認する検査のことであり、あらかじめメンタルヘルスの不調に陥る事態を回避することにも繋がります。
ストレスチェックの実施後は労働基準監督署に報告しなければなりませんが、前述した条件を満たしているのにも関わらず、報告していない、ストレスチェック自体を行っていない、といった場合は労働安全衛生法第121条で定められているとおり、50万円の罰金を支払わなければならないので、注意しましょう。
ただストレスチェックを実施するだけでは解決しないおそれも
ストレスチェックの義務化を受けて、定期的に実施している企業も多くありますが、質問票を配るだけで満足しているなど、形骸化した状態では社員が抱えるストレスの状況を把握しづらいおそれがあります。
そのため、社員のメンタルヘルス不調を防ぐためにはストレスチェックの実施者が結果に基づく対応をよく考えるほか、後述するセルフケアなど様々な対策を複合的に実施していくことが大切です。
リスクマネジメントとしてのストレスチェックの主な手順
では、リスクマネジメントの一環として効果的にストレスチェックを進めていくためにはどうすれば良いのでしょうか。
この章では、前述した厚生労働省の「ストレスチェック制度導入マニュアル」に基づいて、主なストレスチェックの流れを説明していくので、ぜひ読み進めてください。
ストレスチェックを行うための事前準備
ストレスチェックをスムーズに始めるために主に以下の内容をあらかじめ決めておきましょう。
- ストレスチェックの実施者
- 質問票の内容
- 高ストレス者の選出方法
- 面接指導の申出を受ける担当者 など
ストレスチェックの実施者は社員の中から選ぶのではなく、外部委託などによって必ず医師・保健師・厚生労働大臣が定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から選出しなければなりません。
質問票の配布と回収
厚生労働省の「ストレスチェック制度導入マニュアル」などを質問票を作成し、従業員に記入してもらいましょう。
回収は前述した実施者が行い、実施者以外の第三者や人事権を持つ社員はプライバシー保護のために記載された質問票の内容を見てはいけません。
またストレスチェックを行った実施者も守秘義務を法的に課せられ、ストレスチェックを受けた当事者の同意なく企業に結果を見せることは禁止されています。
申出があった場合の面接指導
ストレスチェックを受けた従業員から医師による面接指導が必要だという申出があった場合は、医師に面接指導を依頼しましょう。
面接指導が終わった後は、就業上の措置などの意見を医師から聞き、それに基づいて労働時間の短縮などの対応を行います。
また面接指導の結果は、事業所で5年間保存しておく必要があります。
そのほかの企業における主なメンタルヘルス対策
社員のメンタルヘルス不調を防ぐためには、ストレスチェック以外にも様々な対応を実施していく必要があります。
この章では、ストレスチェック以外の主なメンタルヘルス対策を説明していくので、ぜひ参考にしてください。
セルフケアを社員に浸透させる
メンタルヘルスは突然、重症化するのではなく、日頃のストレスが積み重なることによって、やがて重症になるため、社員にセルフケアを浸透させましょう。
メンタルヘルス対策の最も基本であるセルフケアは、社員がいち早く自らが抱えるストレスに気づき、対処することです。
ストレスを抱えていることを本人も自覚していないケースもあるため、効果的にセルフケアを実施できるように企業は、ストレスの基本・ストレスの気づき方・ストレスとの向き合い方などを十分に教育しておくと良いでしょう。
ラインケアを徹底する
メンタルヘルスの不調を防ぐためには、セルフケアで社員に対応を任せるのではなく、周囲もストレスを抱えている社員をラインケアによって、いち早く見抜けるようにしなければなりません。
ラインケアとは、管理職が職場環境の把握や部下が抱えるストレスのケアを行うことであり、本人がストレスを自覚できない場合もあるため、日頃からセルフケアだけでなく、ラインケアも徹底しておくことが重要です。
また部下が相談しづらい状況であれば抱えるストレスが大きくなることでメンタルヘルスの重症化に繋がるリスクがあるため、平時から部下が相談しやすい環境作りしておきましょう。
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
企業には災害や事故など多くのリスクが取り巻いていますが、その1つが社員のメンタルヘルスの不調であり、リスクマネジメントとして十分に対策していなければ事業に被害を受けてしまうおそれがあります。
この記事を参考にストレスチェックなど日頃から社員の安全を確保するためにメンタルヘルス対策も徹底していきましょう。