
もし河川氾濫が起きたらどこへ避難するのか?コロナ禍における河川氾濫リスクと安全に避難するための鉄則
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※2021年10月14日更新
降水量の多い日本では毎年のように水害が発生していますが、河川氾濫発生時にどのように避難するべきなのか分からず困っている方も中にはいるでしょう。そんな方のために今回はコロナ禍における河川氾濫のリスクと洪水予報・警戒レベルの概要、水害発生時の2種類の避難方法などを説明していきます。
この記事を読むことで河川氾濫発生時の避難の考え方が分かるので、ぜひ読み進めてください。
河川氾濫とは?外水氾濫と内水氾濫の特徴
河川氾濫の理解を深めるためにも、まずは外水氾濫と内水氾濫の特徴と違いを把握しておきましょう。
この章では、外水氾濫と内水氾濫の概要を説明していくので、対策を考える上でもぜひ参考にしてください。
外水氾濫
外水氾濫とは、豪雨や雪解けによって河川の水位が上昇し、堤防から水が溢れ出したり、堤防が決壊したりして、周辺地域一帯が水に浸かる災害のことであり、外水氾濫は広範囲にわたって被災する傾向がありますが、特に河川に近い地域ほど受ける被害は大きくなります。
外水氾濫発生時は、水が引くまでに時間がかかる傾向があり、事業所や家屋などの建築物に入り込んだ泥水や砂利が水が引いた後も残るため、復旧活動が長期化してしまう
内水氾濫
内水氾濫とは、豪雨の影響でマンホールや下水道などの排水能力が限界を達した場合に氾濫が発生する災害のことであり、近隣に河川がない都市部の場合でも発生してしまうのが特徴です。
都市部の道路はアスファルトで舗装されていますが、アスファルトは土よりも水分が浸透しづらいために雨水が溜まりやすい傾向があるため、豪雨に関する最新の防災情報を常に把握しながら、いつでも防災行動を開始できるようにしておく必要があります。
河川氾濫の影響も受ける内水氾濫
外水は河川の水、内水は堤防の内側にある地域の水を意味するため、河川氾濫は一般的に外水氾濫のみを指しますが、内水氾濫も豪雨による河川の水位上昇に影響を受ける場合があります。
2019年の台風19号(令和元年東日本台風)の直撃によって、川崎市の武蔵小杉駅周辺で内水氾濫が発生し、冠水や電気系統の故障による停電・断水などの甚大な被害が引き起こされたのです。
産経新聞が発表する『武蔵小杉だけではない…都市部の盲点突く内水氾濫 「日本中どこでも起こる」専門家』で説明されているように、多摩川の氾濫を川崎市の堤防が防いでいたものの、武蔵小杉駅に降った雨水を排出するための排水管などから河川の水が逆流したことで甚大な被害を及ぼした内水氾濫が発生しました。
同記事によれば、排水口に設置してあった水門を閉じれば、逆流を防げたものの、降った雨水が排出されなくなることを懸念して、閉じなかったために結局は内水氾濫が発生してしまったようです。
コロナ禍における河川氾濫のリスク

台風に伴う豪雨によって河川氾濫が発生した際に十分な対策を導入できていなければ、事業に以下の深刻な被害をもたらしてしまうリスクがあります。
- 河川氾濫によって事業所や設備、機器が損傷し、休業を余儀なくされてしまう
- 事業を立て直すための復旧活動が長期化する事による顧客離れと業績悪化
- 浸水によって商品などが損傷し、納期遅延とそれに伴うペナルティが発生する
- サプライチェーンの途絶によって、出荷と供給が一時的にできなくなってしまう など
さらに新型コロナウイルスが蔓延する今の状況下で河川氾濫などの自然災害が発生すると上記の被害に加えて、避難先で集団感染が発生してしまうリスクがあるのです。
コロナ禍の避難所は新型コロナウイルスの集団感染が発生しやすいことから回避が求められている3つの密を満たしやすい傾向にあるため、自治体などで様々な対応が行われています。
例えば避難所は避難者同士のソーシャルディスタンス(身体的距離)を十分に確保するために感染の疑いのある方とそうでない方をエリア分けした上で収容人数を絞っており、自宅や知人宅、ホテル・旅館など様々な場所へ避難する分散避難を推奨しています。
そのため、コロナ禍の状況で河川氾濫が発生した場合に備えて、河川氾濫+新型コロナウイルスによる集団感染を想定した対策・防災行動を平時のうちに十分に定めておかなければなりません。
リスクに備えるために確認しておくべき洪水予報と警戒レベル

豪雨などによって河川氾濫の発生が危惧されている場合は、必ず洪水予報を注意深く確認しておきましょう。洪水予報(指定河川洪水予報)とは、河川の氾濫から避難できるように気象庁が国土交通省または各都道府県と連携して河川の状況を発表する予報のことです。
指定された河川のみが対象となりますが、気象庁・市町村が住民が避難する目安となる警戒レベルに相当するので併せて確認しておきましょう。
国土交通省の「河川の洪水予報と水位の関係」でも説明されているとおり、洪水予報は以下の4つに分類されています。
【氾濫注意情報(警戒レベル2に相当)】
氾濫注意水位に達しさらに水位が上昇すると判断された場合に発表される。防災情報などで安全な避難場所・避難経路を確認する必要がある
【氾濫警戒情報(警戒レベル3に相当)】
氾濫危険水位に到達することが見込まれる、または避難判断水位に達し、さらに水位が上昇すると考えられる場合に発表される。河川の氾濫に備えて、高齢者や身体の不自由な方、その支援者は避難を始める。その他の方は、避難の準備を行う
【氾濫危険情報(警戒レベル4に相当)】
氾濫危険水位に達した段階で発表される。いつ氾濫が発生してもおかしくない状態であるため、避難などの対応を行う
【氾濫発生情報(警戒レベル5に相当)】
河川の氾濫が発生している場合に発表される。すでに氾濫が発生している状態なので、命を守るために最善の行動をとる
詳しく警戒レベルを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
河川氾濫における水平避難と垂直避難

河川氾濫などの水害発生時の避難には、主に水平避難と垂直避難の2種類があります。それぞれの意味は以下のとおりです。
【水平避難】
避難所へ向かうなど今いる場所から安全な場所へ向かう
【垂直避難】
今いる自宅やビルの高層階へ避難する
通常、今いる場所が被災するまでに猶予がある場合は水平避難を選び、すでに水害が発生していて水平避難に危険が伴う場合は今いる場所での垂直避難を行います。
水害は地震などの自然災害と異なり、事前に発生するタイミングが分かるため、水害の状況に合わせてどちらの避難が最善なのかを的確に判断することが大切です。
確認するべき防災情報は洪水予報やハザードマップなどがあります。ハザードマップとは、あらかじめ災害の状況やその範囲を予測し、安全な避難場所・避難経路を記載した地図のことです。
国土交通省や自治体のHPで自然災害別に用意されていますが、水害ハザードマップの場合は、浸水時の目安となる浸水深が記載されています。国土交通省が発表する「浸水深と避難行動について」によれば、浸水深とその目安(一般の家屋の場合)は以下のとおりです。
【浸水深:0〜0.5m】
大人の膝まで浸かる床下浸水
【浸水深:0.5〜1.0m】
大人の腰まで浸かる床下浸水
【浸水深:1.0m〜2.0m】
1階の軒下まで浸水する
【浸水深:2.0m〜5.0m】
2階の軒下まで浸水する
【浸水深:5.0m〜】
2階の屋根以上が浸水する
浸水深1.0m未満であれば水平避難ができると思う方も中にはいるかもしれませんが、氾濫した水の勢いは強く浸水深0.5m未満の浸水であったとしても大人でも歩行が困難になるため、浸水が始まる前に水平避難をしたり、今いる場所で垂直避難を選んだりすることが大切です。
また垂直避難を選んだ場合は浸水によって電気・ガス・水道のライフラインの復旧が長引くおそれがあるため、必ず1週間分の防災グッズを確保しておきましょう。
詳しく防災グッズの種類を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リスク情報の把握に役立つFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
河川氾濫などの水害は事前に発生するタイミングが分かりますが、堤防の決壊で浸水深・浸水区域が増加するなど水害発生時は何が起きてもおかしくはありません。きちんと洪水予報やハザードマップなどの防災情報を確認した上で早めに避難することが大切です。
河川氾濫など水害発生時における避難の種類と基礎知識を今一度、確認し、最善の行動をとりましょう。