
局地的な激震を引き起こす直下型地震の脅威と今から導入しておきたい企業の対策
目次[非表示]
- 1.直下型地震(内陸型地震)の概要と発生する仕組み
- 2.直下型地震と海溝型地震の違い
- 2.1.マグニチュードの傾向
- 2.2.揺れる時間
- 3.直下型地震が発生した場合の深刻なリスク
- 4.企業における主な地震対策
- 4.1.BCP・防災マニュアルを策定する
- 4.2.防災グッズを備蓄しておく
- 4.3.ハザードマップで被災状況を把握する
- 4.4.オフィス内に安全対策を施す
- 5.リスク情報を早期把握できるFASTALERT
- 6.最後に
地震には、主に直下型地震(内陸型地震)と海溝型地震の2種類がありますが、もし直下型地震が発生した場合は、都市部に甚大な被害をもたらしてしまうおそれがあるため、事前に対策しておくことが重要です。
現在は今後30年以内に起きる可能性がある首都直下地震の発生が危惧されている状況ですが、これから直下型地震に備えようと考えている企業担当者の中には直下型地震がどういった災害なのか分からずに困っている方も中にはいるでしょう。
そこで本記事では直下型地震の基礎知識や発生する仕組み、海溝型地震との違い、企業における主な地震対策などを説明していきます。
この記事を読むことで直下型地震の理解が深まるため、対策を考える上でもぜひ参考にしてください。
直下型地震(内陸型地震)の概要と発生する仕組み
直下型地震とは、都市部などの直下で発生する地震のことで、後述する海溝型地震よりも規模は小さく、揺れる時間が短い傾向があるものの、阪神・淡路大震災などの被害で確認されているように震源が浅い場合は大きな揺れが壊滅的な被害が引き起こすケースがあります。
直下型地震は、1,000年〜1万年の周期で発生しており、大陸プレートが海洋プレートによって圧迫されることで大陸プレート内部の断層にひずみが蓄積されていき、このひずみが限界に達すると強度の弱い断層が破壊されて、ずれることで発生してしまうのです。
このプレートの圧迫によって過去数十万年間に繰り返し動いたことが確認されており、今後も動く可能性が高い断層を活断層と言いますが、立川断層など東京都やその近辺の地域にもいくつかの活断層が存在しています。
現在、発生が危惧されている首都直下地震も直下型地震の1種であり、都市部が壊滅的な被害を受けてしまうおそれがあるので、事業と社員を守るために事前に最善と考えられる的確な対策を可能な限り導入しておきましょう。
詳しく首都直下地震を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
直下型地震と海溝型地震の違い
海溝型地震とは、海洋プレートが大陸プレートに沈み込むことが原因で発生する地震であり、2011年の東日本大震災などのように直下型地震よりも規模が大きい地震が発生してしまう傾向があります。
海溝型地震が発生する仕組みをより具体的に説明すると、海洋プレートが大陸プレートに沈み込むと大陸プレートの先端が引き込まれることでひずみが蓄積されていき、このひずみが限界を超えると、大陸プレートの先端が跳ね上がることで海溝型地震が引き起こされてしまうのです。
直下型地震と海溝型地震は発生する仕組みだけでなく、以下のように両者の特徴も大きく異なります。
マグニチュードの傾向
直下型地震よりも海溝型地震の方がマグニチュードの規模が大きい傾向があり、海溝型地震は東日本大震災などのようにマグニチュード8の巨大地震を引き起こしてしまう場合があります。
海溝型地震は広い範囲にわたって被害をもたらすものの、陸地に向かうにつれてエネルギーが衰える傾向があるため、建築物の倒壊などの被害は直下型地震よりも小さくなる場合があります。
しかし、海溝型地震は海で発生するために東日本大震災のように地震によって被害を受けた直後に巨大津波が襲来してしまうケースもあり、沿岸部の場合は地震と共に津波に関しても注意しなければなりません。
直下型地震の場合は、地域の真下が震源地となって発生するために、海溝型地震と違ってエネルギーが直接的に伝わり、海溝型地震よりもマグニチュードが低くても、建築物の倒壊やそれに伴う火災など局所的に甚大な被害が発生してしまうのです。
揺れる時間
海溝型地震が発生した場合、小さな縦揺れのあとでゆっくりした大きな横揺れが数分間にわたる長い間、発生しますが、震源地が沖合なので、陸地に襲来するまでに猶予があり、緊急地震速報などで事前に身構えることができます。
直下型地震は、小さな揺れなどの前触れもなく、突然に下から突き上げるような大きな縦揺れが発生するのが特徴であり、地震の発生から揺れが引き起こされるまでの時間が非常に短いために緊急地震速報などの発表が間に合いません。
直下型地震の場合、緊急地震速報は揺れが発生した後など、数分遅れてやってくるため、最小限に被害を抑えるためには室内の家具などを固定しておくなどの対策を事前に行うことが望ましいです。
直下型地震が発生した場合の深刻なリスク
前述したように直下型地震は海溝型地震よりも規模が小さく、揺れも短い傾向があるものの、震源が浅い場合は大きな揺れによって主に以下の甚大な被害が発生してしまうおそれがあります。
- 家屋やオフィス、建築物やブロック塀など広範囲にわたって、倒壊してしまう
- 大きな揺れに伴って、家具が転倒・落下・移動することで重軽傷を負ってしまう
- 転倒した暖房器具や損傷した電源コードなどに可燃物が触れてしまうことで同時多発火災が発生する
- 地震による水道管や電柱などの損傷によって、水道・ガス・電気のライフラインが途絶してしまう
- 液状化現象や倒壊した建築物の瓦礫、道路自体の損傷によって、サプライチェーンの途絶や公共交通機関の運行停止が余儀なくされてしまう
- オフィスや工場の倒壊や設備の損傷によって、休業に追い込まれてしまう
- 休業やサプライチェーンの途絶に伴って、納期遅延とそれに伴うペナルティや顧客離れが発生してしまう など
直下型地震は陸が震源地となって発生するため、沿岸部に近い場所が震源地になる場合を除いて、津波が引き起こされることはありません。
直下型地震の被災状況によっては、最悪は莫大な復旧コストが発生することで復旧の目処が立たずに倒産に繋がってしまうおそれがあるので、企業を守るために事前に対策しておきましょう。
企業における主な地震対策
地震が発生した場合、状況によってはその後の事業継続に深刻な被害を及ぼしてしまうおそれがあるため、平時のうちに可能な限りの対策を導入しておく必要があります。
この章では、企業における主な地震対策を説明していくので、企業の担当者はぜひ参考にしてください。
BCP・防災マニュアルを策定する
直下型地震が発生した場合に、すみやかに最善と考えられる対応を開始するために、あらかじめBCP・防災マニュアルを策定しておきましょう。
BCPとは、災害や事故などのリスク発生時にその被害を最小限に抑えて、事業の継続または早期復旧を図るための計画のことであり、事前に事業継続を目的とした最善と考えられる対応を定めておくのが特徴です。
もしBCPや防災マニュアルを策定していない状態でリスクに巻き込まれた場合は、混乱によって的確な対応がすみやかにできないことで被害が拡大してしまうおそれがあるため、事前に策定しておきましょう。
詳しくBCPを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
防災グッズを備蓄しておく
直下型地震が発生した場合は、広範囲にわたる被災によって避難生活を余儀なくされてしまうおそれがあるので、安全に過ごすためにも事前に防災グッズを備蓄しておきましょう。
一般的には電気・水道・ガスのライフラインの復旧や人命救助が落ち着くまでに3日程度かかると言われているものの、直下型地震が発生した場合は甚大な被害によって、復旧対応と避難生活が長期化してしまう可能性が高いため、少なくとも1週間分以上の防災グッズを備蓄しておくことが望ましいです。
企業に防災グッズの備蓄が求められている法的な理由や主な防災グッズの種類を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ハザードマップで被災状況を把握する
直下型地震が発生した場合の状況の目安を把握するために、事前にハザードマップを確認しておきましょう。
ハザードマップとは、過去に発生した災害履歴に基づいて、被災の状況や範囲、安全な避難場所を記載した地図のことであり、地震や水害など災害の種類別に国土交通省や自治体のHPで公開されています。
ただし、あくまでも災害履歴に基づく予見に過ぎず、場合によっては安全とされていた場所も被災してしまうおそれがあるため、1つの目安として考えた上で最新の防災情報を確認するようにしましょう。
オフィス内に安全対策を施す
東京消防庁の「なぜ家具類の転倒・落下・移動防止対策が必要なの?」で説明されているように、近年の地震で発生した負傷原因の30〜50%が家具の転倒・落下・移動であることが調査の上で分かっているため、あらかじめオフィス家具などに主に以下の安全対策を行いましょう。
- オフィス家具をなるべく壁につけてL字金具やボルトなどで固定する
- 収容物の飛び出しによる負傷を防ぐために耐震ラッチ付きの家具を選ぶ
- すみやかに避難するために、避難経路付近には物を置かないようにする
- ガラス片による負傷を防ぐために窓ガラスやガラス扉に飛散防止シートを貼っておく
- 下敷きになることを防ぐためにオフィス中央に置く家具は腰までの高さにする など
今回は簡易的な説明となりましたが、より詳しくオフィスにおける安全対策を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
震源地が浅い直下型地震の場合は都市部を中心に建築物の倒壊など壊滅的な被害をもたらしてしまうおそれがあり、緊急地震速報が間に合わないため、いかに平時のうちに的確な対策を導入しておけるかが鍵となります。
この記事を参考にして、直下型地震への理解を深めつつ、最善と考えられる対策の導入を徹底しておきましょう。