
集中豪雨などに伴う冠水の危険性と企業の主な水害対策
目次[非表示]
- 1.広範囲にわたる深刻な悪影響をもたらす冠水
- 2.冠水の危険性が高いアンダーパス(地下道)
- 3.冠水以外にも危惧するべき主な水害
- 4.企業における主な水害対策
- 4.1.BCPを策定する
- 4.2.浸水対策を徹底する
- 4.3.災害保険に加入しておく
- 5.リスク情報を早期把握できるFASTALERT
- 6.最後に
- 7.関連お役立ち資料集
※2021年10月7日更新
集中豪雨などによって冠水が発生した場合、通行止めや車両故障などの被害が発生しますが、どのように注意すれば良いのか分からない方も中にはいるでしょう。
そこで本記事では冠水の概要やその他の水害、企業の主な水害対策などを説明していきます。
この記事を読むことで冠水をはじめとした水害に備えるポイントが分かるので、ぜひ読み進めてください。
広範囲にわたる深刻な悪影響をもたらす冠水
冠水とは、集中豪雨や洪水等の水害によって道路や畑などの普段は水がない場所が水に浸かってしまう状況の災害のことであり、河川や海など普段から水のある場所は冠水とは呼びません。
冠水や浸水など水害の違いがいまいち分からない方もいるかもしれませんが、一般的に冠水は土地が広範囲にわたって水に浸かっている状況を指し、車や建物が水に浸かる状況を浸水、河川から水が溢れる状況を氾濫などとそれぞれ使い分けます。
都市部はアスファルトによって舗装されていますが、土よりも雨水が浸透しづらい特徴があり、マンホールや排水路などの排水能力を超えることで引き起こされる内水氾濫(都市型水害)が発生すると広範囲にわたって、以下の深刻な被害をもたらす冠水が引き起こされてしまうリスクがあるのです。
- 畑が冠水することで農作物が著しい被害を受け、出荷やその後の生育が困難になる
- 道路が冠水すること車での通行や歩行が難しくなり、サプライチェーンの途絶や公共交通機関の麻痺が発生する
- 無理に冠水道路を車で通行することで無理に通行した場合、車に致命的な故障や車両火災が発生してしまう
- 冠水に伴うオフィスへの浸水によって、重要な設備や機器が損傷し、事業活動の中断を余儀なくされる
- 急激に冠水が進んだ場合は、運転していた車に閉じ込められてしまう など
膝ぐらいの高さまで冠水した場合は、大人でも歩行が困難となり、冠水した道路は水で濁っているため、排水路や蓋が流出してしまったマンホールなどを視認することができません。
また、冠水が10〜30cmの深さでは車のブレーキが低下するほか、フロアまで達した場合はエンジンに水が入り込むことで車が動かなくなったり、ショートすることで火災へ発生したりする危険性があります。
さらに冠水によってエンジンが停止した車の中にいると、やがてドアが開かなくなり、車ごと押し流されてしまうリスクがあるため、すみやかに車から降りて、安全な場所へ避難しなければなりません。
冠水の危険性が高いアンダーパス(地下道)
アンダーパスとは、立体交差する道路や鉄道の下を通過するために掘り下げられた道路のことであり、周辺の道路よりも標高が低くい上に、水の深さを把握しづらいため、冠水発生時にアンダーパスを通行したことで水没してしまった被害もこれまで複数回にわたって確認にされています。
集中豪雨などの水害発生時は、最初にアンダーパスへ雨水などが集中することで冠水してしまう危険性があり、例えば平成28年台風第16号による豪雨で愛知県清須市で3mの深さの道路冠水が発生し、アンダーパスの冠水を電光掲示板で知らせていたものの、その一部が故障によって作動しておらず、アンダーパスの冠水に気づかずに進入した69歳の女性が車の水没によって亡くなりました。
こうした冠水による不幸な事故は後を絶たないため、台風に伴う豪雨など事前に予想される冠水に関しては通行止めや電光掲示板での表示などの対策がとられていますが、予測しづらいゲリラ豪雨などが発生すると直ちに通行止めができませんし、先ほどの事例のように電光掲示板が故障していた場合は、対応できないおそれがあります。
集中豪雨や内水氾濫などの発生時に冠水による危険性が高く、身の危険を感じる場合、車の運転を控えるか、可能な限りアンダーパスを避けるようにしましょう。
冠水のリスクが分かる道路冠水注意箇所マップ
冠水したアンダーパスの通行を防ぐためには、あらかじめ道路冠水注意箇所マップで危険性の高いアンダーパスの場所を把握しておくことが大切です。
道路冠水注意箇所マップとは、集中豪雨などの水害発生時に冠水する可能性が高いアンダーパスをとりまとめた地図のことであり、国土交通省や自治体のHPなどで確認することができます。
通常の降水であれば問題ありませんが、台風に伴う集中豪雨などが発生した場合は道路冠水注意箇所マップに記されたアンダーパスが冠水してしまう危険性が高いので、安全確保のためには外出する前に確認しておくことが望ましいです。
冠水以外にも危惧するべき主な水害
冠水は畑や道路などの土地が水に浸かることで被害をもたらす事象ですが、前述したように危惧するべき水害には、様々な種類があります。
冠水を除く主な水害は、以下のとおりです。
【洪水】
集中豪雨や大量の雪解けによって、河川などの水量が急激に増している状態のこと
【外水氾濫】
河川の水が堤防から溢れ出たり、堤防が決壊したりすることによって、市街地が水に浸かってしまう災害のこと。泥水が建物などに浸水するため、水が引いた後も復旧に時間がかかってしまう傾向がある
【内水氾濫】
集中豪雨などによって排水路や下水管の雨水処理能力をオーバーし、建物や道路などが浸水する災害のこと。マンホールからの逆流などもあるため、近隣に河川や海がない場合でも発生する
【高潮】
台風や強風などによって海面の水位が上昇し、陸地が海水に浸かってしまう災害のことで、漂流物による怪我や交通マヒなどのリスクがある
【津波】
海底の地殻変動などで発生する大規模な波のことであり、地震に伴って発生するケースが多い災害。漂流物などと共に周囲を破壊しながら陸地を進んでいくため、甚大な被害が発生する
企業における主な水害対策
では、企業の場合は冠水などの水害に備えて、どのような対策に取り組んでおけば良いのでしょうか。
この章では、企業における主な水害対策を説明していくので、ぜひ読み進めてください。
BCPを策定する
冠水などの様々な水害に備えて、あらかじめBCPを策定しておきましょう。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害や事故など企業を取り巻くリスク発生時にその被害を最小限に抑えて、事業の継続または早期復旧を図るための計画のことです。
BCPにはリスク発生時の対応を記載しておきますが、もしBCPを策定していない状態でリスクに巻き込まれた場合は、混乱によって的確な行動を取ることができずに被害が拡大してしまうおそれがあります。
詳しくBCPを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
浸水対策を徹底する
浸水など水害によるオフィスや工場への被害を最小限に抑えるために、あらかじめオフィスなどには浸水対策を行なっておきましょう。
自治体や気象庁が発表する台風情報などで水害が予想される場合は、土のう・水のうや止水板で建物の出入り口などを事前に塞いでおくほか、万が一のために備えて事業活動を行う上で不可欠なサーバーや設備は1階や地下には置かず、なるべく高層階へ移動させていくことが大切です。
また、テレワークや安全な地域に別の拠点を新設するなど、オフィス機能を分散させて、想定外の事態に見舞われた場合でもすみやかに事業継続をできるようにしておくと良いでしょう。
災害保険に加入しておく
水害のみに限りませんが、災害発生時は何が起こるのか分からず、十分に対策していても想定以上の被害を受けてしまうおそれがあり、場合によっては膨大な復旧コストがかかることで事業継続に深刻な被害を受けてしまう可能性があるのです。
そうした際に備えて、あらかじめ災害対策として活用できる保険に加入しておくことが望ましく、特に企業財産包括保険が事業継続を行う上で役立ちます。
企業財産包括保険とは、建物・動産だけでなく、企業の様々なリスクによる損失を補償する保険のことであり、復旧活動に必要な費用や操業停止で得られなかった利益なども補償しているのが特徴です。
詳しく災害に関する主な保険の種類を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
ゲリラ豪雨の場合、電光掲示板で冠水による通行止めが知らされますが、もし冠水道路を無理に車両で通過しようとした場合、車両火災やエンジンの故障などの被害が発生してしまうおそれがあります。
また冠水以外にも注意するべき水害は数多くあるため、水害発生時にすみやかな事業継続を実現するために平時から最善と考えられる水害対策に取り組んでいきましょう。