
地震による事業への損失を左右する初動対応と企業における主な5つの対応
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地震大国である日本。地震発生時は余震に気をつけながら、的確な初動対応を行う必要がありますが、どのように初動対応を進めるべきなのか悩んでいる企業の防災担当者も少なからずいるでしょう。
そんな方のために初動対応の概要と地震における主な初動対応を説明していきます。この記事を読むことで初動対応を行う上での参考になるので、ぜひ読み進めてください。
企業への損失を防ぐために初動対応が重要な理由

自然災害や事故などのリスク発生後は、事業と従業員を守るために迅速に初動対応を開始する必要があります。初動対応とは、従業員の安全確保を最優先としたリスク発生後に行う最初の対応のことです。
この初動対応が上手くいくかどうかによって、その後の事業への被害が左右されると言っても過言ではありません。特に地震発生時は、余震が起きるおそれがあり、迅速に的確な初動対応を行う必要があるのです。
地震などの災害発生時は想定外の事態へつながる場合もあり、臨機応変に初動対応の内容を変えていくことが重要ですが、スムーズに初動対応を行えるようにある程度は事前に対応を定めておくと良いでしょう。
地震発生後の主な4つの初動対応

では地震が発生した場合の初動対応は、どのように進めていけば良いのでしょうか。この章では、地震における主な企業の初動対応を説明していくので、ぜひ参考にしてください。
従業員の安全確保と安否確認
地震などのリスク発生後は、安全な場所へ避難することが大切です。被災によってオフィスが安全な状態でないのなら、場合によっては避難所などへ従業員を誘導しなければなりません。
地震によって従業員が負傷したり、フロアに閉じ込められてしまったりした場合は人命救助を行う必要があるため、事前に以下の対策を行なっておくと良いでしょう。
- 各フロアに救助道具を保管しておく
- 応急手当やAEDの知識を社内で浸透させておく
また働き方改革でフレックスタイムやテレワークの導入が進む今の状況では、地震発生時にオフィスに従業員がいるとは限らないため、あらかじめ安否確認サービスを導入しておくことが大切です。
電話やメールで十分だと考えている防災担当者の方も中にはいるかもしれませんが、自然災害発生時は東日本大震災など過去の災害で度々、起こっているように安否確認で電話回線が輻輳状態に陥ることで通信規制が実施されて、一時的に利用できなくなります。そのため、法人向けSNSの活用など電話やメールとは別に安否確認サービスを導入しておきましょう。
主な安否確認の種類を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
初期消火など二次被害を防止する
地震発生時は火災が同時に起こるおそれがあり、消防署に連絡しても到着までにタイムラグがあるので、火災を確認した場合は、自分たちですみやかに初期消火を行う必要があります。そのため、平時の防災訓練で従業員に初期消火の対応を十分に浸透させておきましょう。
一般的に初期消火は最初の3分が重要だと言われており、もし天井まで火が燃え広がってしまった場合は、自分たちだけでは消火が難しくなるため、従業員の安全確保を優先してすみやかに避難することが大切です。
また平時にオフィス内に地震対策を実施した上で地震発生後はヘルメットや手袋を着用し、二次被害を防ぐためにキャスターなどは固定しておきましょう。
オフィスの火災対策や地震対策を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
有効な火災対策と命を守るために覚えておきたい火災の基本
オフィスが行うべき防災対策の基礎知識と災害別の対策方法
災害対策本部を設置する
地震などのリスク発生時は、的確な意思決定を行えるように災害対策本部をすみやかに設置しましょう。それにあたっては災害対策本部の設置基準や構成メンバーなどを事前に定めておくことが大切です。
地震などのリスク発生時は何が起きるのか分からず、場合によっては災害対策本部で選定したリーダーが不在したり、被災してしまうリスクがあるため、あらかじめリーダーの代行者を選んでおくと良いでしょう。
また災害対策本部の指示が適切に伝わらないと混乱が生じることで、的確な初動対応ができなくなる原因になるので、事前に指揮系統を明確にしておくことが重要です。リスク発生時の組織マネジメントであるインシデント・コマンド・システムでは、以下の2種類に指揮系統を分類しています。
【一元指揮】
各部門のリーダー1人から指示を受ける指揮系統
【統合指揮】
各部門のリーダーを集めて指示を出す指揮系統
リーダーの指示に従って対応していたところにリーダーよりも地位の高い組織の人間が新たに指示を出すと混乱が生じて、意思決定で決めた対応が守られなくなってしまうリスクがあるため、一度決めた指揮系統は厳守することが重要です。
組織マネジメントであるインシデント・コマンド・システムを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
被害状況などのリスク情報を収集する
地震発生時は自社の被害状況を確認した上で初動対応を進めていく必要がありますが、より的確な初動対応と復旧対応ができるように取引先やインフラ、ライフラインなど外部の状況も正確に把握しておくことが重要です。
テレビ・ラジオの報道や自治体の防災情報などリスク情報を収集する手段は様々ですが、近年は企業や自治体の間でSNSを使ったソーシャル防災が活用されています。SNSには起きたばかりの事象がほぼリアルタイムで投稿されていることが多く、的確な初動対応の開始やリスク情報を収集する上で非常に役立つのです。
近年はその有効性から報道機関も取材のためにSNSで情報収集を行なっていますが、災害発生時は特に悪質なデマや誤った情報も拡散されやすいという大きな課題を抱えています。そのため、SNSでリスク情報の収集を行う際は、情報の正誤を見極めることが大切です。
地震などリスク情報の収集を強力にサポートする「FASTALERT」
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
万が一、地震が発生した場合は、余震に十分な注意を払いつつ、事業と従業員を守るために迅速かつ的確に初動対応を行う必要があります。地震発生時は何が起こるか分からないため、オフィスへの被害を最小限に抑えるために地震対策を実施し、あらかじめ初動対応の内容をある程度は定めておくことが大切です。
この機会に地震発生時の初動対応をどのように進めるべきなのかを具体的に考えておくと良いでしょう。