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多大な悪影響を及ぼす火山噴火と企業における4つの火山対策

もし火山が噴火した場合、火山災害によって事業にも深刻な被害を及ぼすリスクがあり、平時から可能な限りの対策を立てておかなければなりません。

しかし、事業と従業員を守るために具体的にどのような対策を行えば良いのか分からないと悩んでいる企業の防災担当者も中にはいるでしょう。

そこで今回は火山噴火による被害や主な火山災害の種類、参考にするべき火山災害に関する防災情報、主な火山対策などを説明していきます。

この記事を読むことで有効な火山対策を導入する上でのヒントが分かるので、ぜひ企業の防災担当者は参考にしてください。

※本記事で使用している画像は一部を除いて、Adobe Stockで取得しています。
※2021年4月23日更新

火山噴火とは

火山噴火とは、地下深部で発生したマグマや火山灰が地表へ噴出する現象のことであり、火山が活動する期間は長いため、これまで噴火した火山や噴火すると想定されている火山は、活火山に分類されています。

北方領土や海底火山を含めて現時点では全世界の7%にあたる111の活火山が日本で確認され、このうち50火山は、安全のために常時観測火山として24時間体制で観測している状態であり、火山噴火に備えるための情報提供を気象庁がすみやかに行なっています。

火山噴火によって発生する企業などへの甚大な被害

もし火山が噴火した場合は、どのような被害が発生するのでしょうか。

例えば万が一、火山の噴火によって火山灰が降ると、主に以下の深刻な被害が発生します。

  • 積灰による農作物の生育不良
  • 積灰による電線の断線とそれによる停電の発生
  • レールの積灰や運行システムの障害による鉄道の運行停止
  • 積灰による建築物や設備の損傷
  • 火山灰が原因の濁水による断水
  • 自動車の走行不能や渋滞
  • 視界不良・スリップによる交通事故
  • 航空機のジェットエンジンの故障とそれを回避するための運行停止 など

またこの状況では人命救助や食糧などの物資の提供を迅速に行うことが難しくなるリスクがあります。

企業の場合は上記の被害が事業の操業停止やサプライチェーンの途絶などへ直結する可能性が高く、十分に対処できなければ取引先や顧客を失うことで企業の存続が危ぶまれる事態に繋がってしまうおそれがあるのです。

日本では都市部における火山災害の被害が発生していないため、十分に対策をしている首都圏などの企業は少ない傾向にありますが、この状態で火山災害が発生すると取り返しのつかない事態につながりかねません。

そのため、火山災害による悪影響を最小限に抑えるためには今から効果的な対策を立てておくことが重要です。

今後の発生が危惧されている主な火山噴火

この章では、今後の発生が危惧されている活火山の富士山や阿蘇山に関して説明していきます。

富士山の噴火

活火山の1つである富士山が最後に噴火したのは、今から300年以上前である1707年の宝永大噴火であり、いつ噴火しても決しておかしくないとその発生が危惧されているのです。

もし富士山が噴火した場合、火山災害で静岡県や山梨県、首都圏である東京都、神奈川県、千葉県などに深刻な被害を及ぼすと想定されています。

阿蘇山のカルデラ噴火

もう1つ発生が不安視されているのが、宝永大噴火の1,000倍以上のエネルギーをもつとされる阿蘇山のカルデラ噴火です。

2016年の熊本地震の影響で活発化が懸念されている阿蘇山が万が一、噴火すると九州は壊滅的な被害を受け、降灰によって北海道東部と沖縄県を除く全ての地域でライフラインが途絶するなどの甚大な被害が想定されています。

噴火によって発生する主な火山災害

噴火による被害を最小限に抑えるためには効果的な対策を導入することが重要ですが、それを考えるにあたっては火山災害の種類を把握しておく必要があります。

この章では、代表的な火山災害を説明していくので、企業の担当者はぜひ参考にしください。

噴石・火山灰

噴石とは噴火によって噴出する岩石や火山弾のことであり、避難までの猶予が十分にないため、事前に避難しておくことが重要です。

噴石の中でも特に小さい固形物(直径2mm未満)は火山灰と呼ばれ、数百km先までと広い範囲に降灰することで交通機関の麻痺や建築物・航空機・家電製品の損傷など甚大な被害をもたらします。

火砕流

火砕流とは、噴火によって噴出した火山ガスや火山灰などが混ざり合って、火山の斜面を流れ下る現象のことです。

その温度は数百度℃であり、自動車〜ジェット機並みの速度で流れ下るため、発生してから逃げ切ることが難しく、防災情報などを確認して発生前に避難しておく必要があります。

溶岩流

溶岩流とは、溶けた岩石が地表を流れ下る現象のことで、基本的に流れ下る速度が遅いため、場合によっては徒歩による避難もできます。

火山泥流・土石流

火山泥流とは、噴火による噴出物と水が混ざり合って地表を流れ下る現象のことで、数十kmの速度で襲来する場合があります。

また、噴火によって水と土砂が混ざり合った土石流を誘発するおそれがあり、噴火が終息した後も被害が継続してしまうケースもあります。

融雪型火山泥流

融雪型火山泥流とは、積雪時の噴火に伴い、雪が溶かされて、土砂や岩石を巻き込みながら流れ下る現象のことです。

その速度は時速60kmを超えることもあり、建物や道路などに広範囲にわたって、深刻な被害をもたらします。

火山ガス

火山ガスとは、火口などから放出される気体成分のことであり、水蒸気や二酸化炭素だけでなく二酸化硫黄なども含まれるため、吸い込むと中毒や死亡につながるおそれがあります。

火山噴火に関する主な防災情報

火山噴火が発生した場合または発生が予測される場合は、直ちに防災対応ができるように火山噴火に関する防災情報を確認しておきましょう。

この章では、そんな火山噴火における主な防災情報を解説していくので、ぜひご覧ください。

噴火予報・噴火警報・噴火速報

噴火予報とは、火山活動が平常な状態が続く場合や後述する噴火警報を解除する場合に発表する防災情報です。

噴火警報は噴火によって生命に危険を及ぼすと想定される場合に警戒が必要な範囲を発表する防災情報であり、噴火予報と同じく市区町村別に発表されます。

噴火速報は、登山者や周辺地域の住民に噴火したことを迅速に伝えて、防災行動を促す防災情報であり、これまでは規模が小さいため、直ちに噴火したかどうかを確認できない場合は噴火速報が発表されていませんでした。

しかし、気象庁が発表する「噴火速報の運用の一部見直しについて」で説明されているとおり、2019年9月30日からは以下の場合も発表するように見直されています。

  1. 噴火警報が発表されていない常時観測火山で噴火が発生した場合
  2. 噴火警報が発表されている常時観測火山で噴火警戒レベルの引き上げや警戒が必要な範囲の拡大を検討する場合
  3. 社会的影響が大きく、すみやかに発表する必要があると判断された場合

噴火警戒レベル

噴火警戒レベルとは、火山活動に応じて警戒が必要な地域と行うべき防災行動を発表する防災情報であり、前述した噴火予報・噴火警報と合わせて以下5つのレベルで発表されています。

【レベル1(噴火予報:活火山であることに留意)】
対象範囲は、火口内等で火山活動は静穏である

【レベル2(火口周辺規制)】
対象範囲は、火口周辺で火口周辺に生命を脅かす噴火が発生または発生が予測される場合に発表される

【レベル3(入山規制)】
対象範囲は火口から居住地域周辺まで。居住地域周辺まで重大な影響を及ぼす噴火が発生または発生が予測される場合に発表される。今後の火山活動に注意し、要配慮者は避難の順を始める

【レベル4(避難準備)】
対象範囲は居住地域またはそれより火口側。居住地域に深刻な被害をもたらすと予測される場合に発表される。対象の地域に住んでいる場合は、避難の準備をし、要配慮は避難する

【レベル5(避難)】
対象範囲は居住地域またはそれより火口側。居住地域に深刻な被害を及ぼす噴火が発生または切迫した状況にある場合に発表される。危険とされる対象の地域から避難が必要

レベル3から避難準備が必要ですが、火山活動の状況によっては予測できずに噴火が発生し、段階を踏まずにレベルが上昇するおそれがあるため、可能な限り早く行動することが重要です。

また全ての活火山を対象として噴火警戒レベルが発表されるのではなく、常時観測火山のうち48火山のいずれかで噴火が発生または噴火が予測される場合に発表されるため、事前にどの活火山が対象になっているのかを確認しておきましょう。

降灰予報

降灰予報とは、噴火後にどの地域でどのぐらいの量の降灰があるのか、または噴火が発生した場合にどの範囲で降灰が起こるおそれがあるのかを知らせる防災情報です。

降灰予報は、次の3つに分類されています。

【降灰予報(定時)】
噴火警報を発表中の火山で影響を及ぼす降灰が予想される場合に3時間ごとに18時間先までの情報を発表する

【降灰予報(速報)】
予測に基づいて噴火から5〜10分程度で発表され、噴火から1時間以内の降灰状況がわかる

【降灰予報(詳細)】
予測に基づいて噴火から20〜30分程度で発表され、噴火から6時間以内の降灰状況がわかる

また降灰の量をわかりやすく伝えるために降灰量は階級で説明されており、以下の用語で量や行うべき対応を把握することができます。

【少量(0.1mm未満)】
窓を閉じたり、視界不良を防ぐために車のフロントガラスに積もった火山灰を除灰する必要がある。航空機は運航停止になるおそれがある

【やや多量(0.1〜1mm未満)】
呼吸器疾患がある方は症状悪化を防ぐためマスクなどで防護する。自動車は安全のために徐行運転をする。農作物に悪影響を与えたり、鉄道が運行停止となるおそれがある

【多量(1mm以上)】
健康状態が悪化するため、外出を控える。自動車の運転は控える必要がある。停電の発生や断水が発生するおそれがある

発表が遅れる場合がある点に注意

噴火はある程度継続するため、発生の予測よりもその後の状況を予測することの方が重要です。

しかし、場合によっては予兆の観測がギリギリになってしまったり、観測できないまま噴火したりするおそれがあり、噴火の予測を伝える噴火警戒レベルなどの防災情報の発表が遅れてしまうケースもあります。

例えば2014年に発生した御嶽山噴火の前兆を予測できたのは噴火の11分前であり、2011年の新燃岳の噴火では噴火の明確な前兆を予測できませんでした。

そのため、あくまでも防災情報は1つの目安として考えた上で最悪の事態に繋がった場合に備えて日頃からきちんと火山対策を実施しておくことが重要です。

噴火による被害を最小限に留めるために企業が行うべき火山対策4選

では、火山噴火による被害を防ぐためにどのような対策を実施しておけば良いのでしょうか。

この章では企業の防災担当者のために効果的な火山対策を説明していくので、ぜひ参考にしてください。

BCP・防災マニュアルを策定しておく

万が一、火山が噴火した場合に備えて事前にBCP・防災マニュアルを策定しておきましょう。

BCPとは、災害や事故などのリスク発生時にその悪影響を最小限に抑えて事業継続または早期復旧を図る計画のことです。

このBCPや防災マニュアルでは、リスク発生時に的確に対処できるようにあらかじめ対応を明確に定めておきます。

もし策定していない状態でリスクに直面してしまった場合は混乱が生じることで適切な対応ができず、場合によっては対応が遅れることで被害がさらに拡大してしまうおそれがあるため、事業と従業員を守るために事前にBCP・防災マニュアルを策定しておくと良いでしょう。

また一度の作成で完成度の高い対応を定められるとは限らないため、定期的に行う訓練の中で対応を従業員に浸透させつつ、きちんと機能しているのかを確かめて改善していく必要があります。

訓練終了後に対応がなぜ上手くいかなかったのか、より良い対応にするためにはどうすれば良いのかを考えることで、より完成度の高いBCP・防災マニュアルへ近づけていくと良いでしょう。

事業と従業員を守るためには欠かせないBCPを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

コロナ禍でBCPが重視される理由と策定する上でのポイント

防災グッズを備蓄しておく

前述したように降灰によってライフラインや交通機関が一時的に途絶する可能性が高く、その間は食糧や水などの防災グッズによって安全に避難生活を送らなければならないため、万が一の事態に備えて必ず防災グッズを確保しておきましょう。

一般的には電気・水道・ガスなどのライフラインや人命救助が落ち着くまでに3日程度かかると言われています。

しかし降灰によって交通機関が麻痺することで迅速に物資を受け取ることができなくなるおそれがあり、場合によっては少量の防災グッズでは避難生活を送る中で足りなくなってしまうことも想定されます。

そのため、最悪の事態に備えて1週間分以上の防災グッズを備蓄しておきましょう。

また火山の噴火はいつ発生するのか分からず、働き方改革が進む今の状況では従業員が在宅勤務中に火山の噴火が始まってしまうおそれがあるため、オフィスだけでなく従業員の自宅にも防災グッズを用意しておくように伝えておくと良いでしょう。

企業に防災グッズの備蓄が求められている理由や用意するべき防災グッズの種類を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

揃えておきたい防災グッズの基本と必要な防災グッズ18選
Withコロナで備蓄が不可欠な防災グッズの現状とその基本

防塵マスクやゴーグルなどを用意しておく

火山灰は非常に小さいため、広範囲にわたって降灰しますが、人体に付着すると咳や息苦しさ、目の痛み、皮膚の炎症など深刻な健康被害をもたらしてしまうため、あらかじめ防塵マスクやゴーグルなどを確保しておくことが重要です。

コンタクトレンズを着用している場合は火山灰が目に入ると角膜損傷や結膜炎を引き起こすおそれがあるため、火山灰が降灰することがわかっている場合はすぐにコンタクトレンズを外し、眼鏡を着用するようにしましょう。

降灰が起きると火山灰の重みによってオフィスなどの建築物や機械設備が損傷するリスクがあり、定期的に除灰しなければならないため、スコップ、雑巾なども用意しておくことが望ましいです。

安全確保のために火山ハザードマップを確認する

火山噴火に備えて、平時に火山ハザードマップをよく確認しておきましょう。火山ハザードマップとは、過去に発生した火山の噴火などに基づいて万が一、火山災害が発生した場合にどの範囲に被害を及ぼすのかを示した地図のことです。

活火山周辺にある自治体など場合によっては被害の範囲だけでなく、避難場所や避難経路などの防災行動を行う上で役立つ情報も記載している場合もあります。

しかし、噴火発生時は何が起こるのかは分からないため、あくまでも噴火発生時の予想であるため、場合によって被災の範囲が拡大してしまう点に注意しましょう。

自然災害などのリスク情報を早期把握できるFASTALERT

災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。

しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。

この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。

FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。

弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。

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最後に

火山の噴火による被害を経験したことがないために「たぶん大丈夫だろう」と考えて、対策を後回しにしている企業も見受けられますが、万が一、噴火が発生すると場合によっては企業の存続を脅かす深刻な事態に陥ってしまうおそれがあります。

火山が噴火するとライフラインやサプライチェーンの途絶などの被害が発生するリスクがあるため、取り返しのつかない状況に陥る前に的確な対策を導入することが重要です。

この機会に事業と従業員を守るためにどのような火山対策を実施すればいいのかを考えておきましょう。

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