
タイムライン(防災行動計画)が災害対策として役立つ理由
目次[非表示]
- 1.タイムライン(防災行動計画)とは
- 2.タイムラインの導入で得られる3つの効果
- 2.1.先を見越した対応ができる
- 2.2.行うべき防災行動が明確になる
- 2.3.スムーズにコミュニケーションを取れる
- 3.タイムラインを作成する5つの手順
- 3.1.想定する災害とその課題を決める
- 3.2.協議会を設置する
- 3.3.ゼロアワーとリードタイムを設定する
- 3.4.タイムラインを時系列に並べる
- 3.5.タイムラインを検証をする
- 4.自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
- 5.まとめ
- 6.関連お役立ち資料集
台風や豪雨などさまざまな自然災害が発生する日本でも災害に対してあらかじめ防災行動を定めたタイムラインの導入が進んでいますが、タイムラインをどうやって作成すればいいのかよく分からず困っているという方も少なからずいるでしょう。
今回はそんな方のためにタイムラインの基礎知識と導入するメリット、具体的な作成方法などを説明していきます。
この記事を読めば初めての方でもタイムラインを作成できるようになるので、ぜひ参考にしてください。
タイムライン(防災行動計画)とは

タイムライン(防災行動計画)とは、災害による被害を想定して防災行動などをあらかじめ時系列に整理した計画のことです。
防災行動を担当する機関・部署に共有した上できちんと対応できるように「いつ」「誰が」「何を」の3点を明確に決めておきます。
タイムラインが生まれたきっかけは2005年にアメリカで発生したハリケーン・カトリーナだと言われています。
ハリケーン・カトリーナによって大規模な水害が引き起こされ1,800人以上の犠牲者が発生。
当時のアメリカ政府は、各機関の連携や対応が十分出なかったとし、これを教訓にしてタイムラインを策定しました。
その後、2012年にハリケーン・サンディが上陸しましたが、上陸前に避難勧告や計画運休を実施するなどの対応を定めたタイムラインが効果を発揮し、ニュージャージー州バリアアイランドでは犠牲者が0人と被害を最小限に抑えることができたのです。
タイムラインはハリケーンを想定して作成された計画ですが、地震や台風などさまざまな災害を対象とすることができます。
タイムラインの導入で得られる3つの効果

タイムラインを導入することによるメリットを紹介します。どれも参考になる情報ばかりなので、ぜひ読み進めてください。
先を見越した対応ができる
何も計画を立てないまま災害が発生すると、問題解決のためにその場の対応に迫られて余裕を持って行動することが難しくなってしまいます。
しかし事前にタイムラインを策定しておけば、どのような対応を行うべきなのかが時系列で把握できるため、先を見越した行動をとれるようになるはずです。
行うべき防災行動が明確になる
災害発生時は防災行動の抜けによる未対応、間違ったタイミングでの実施が発生するおそれがあります。
しかしタイムラインで防災行動を時系列で定めておけば、それぞれの役割を明確にすることが可能なので、こうしたミスを防止することができます。
スムーズにコミュニケーションを取れる
タイムライン策定時は防災を行う機関と連携をとって何度も作業を行います。
そのため、各機関の担当者と顔見知りになるため、顔の見えない担当者に初めて連絡するよりも円滑にコミュニケーションを図れるようになります。
タイムラインを作成する5つの手順

次にタイムラインを策定するための具体的な手順を説明していきます。初めてタイムラインを作成するという方は、ぜひ読み進めてください。
想定する災害とその課題を決める
まずは想定する自然災害の種類や解決したい課題を決めましょう。
基本的に過去の事例やハザードマップをもとに被害状況を想定していきますが、災害発生時は何が起こるのか分かりません。
想定外の事態が発生すると対応できないおそれがあるため、常に最悪の状況を想定しておくと良いでしょう。ハザードマップとは、災害による被害状況や被害の範囲を予測した地図のことです。
想定する災害は、以下のように進行型災害と突発型災害の2種類に分類し、それぞれの対応を明確に定めていきます。
【進行型災害】
洪水や氾濫、台風など発生やその被害状況をある程度、予測できる災害
【突発型災害】
地震や噴火など発生を事前に予測できない災害
前述しましたがタイムラインはハリケーン対策で生まれたため、基本的に想定するのは進行型災害です。
タイムラインで進行型災害を想定する場合は、災害発生前から発生後の防災行動を定め、予測の難しい突発型災害では災害発生後の対応を決めます。
協議会を設置する
想定した災害による被害を最小限に抑えるための機関・部署の担当者を集めて、協議会を設置します。
災害による被害状況を共有した上でどのような防災行動がとるべきなのかを決めていきましょう。
災害発生時にはタイムラインで想定した状況とは異なる場合もあるため、その際はどう対応するのかもきちんと話し合って明確に決めておくことが大切です。
その後、防災行動を行う機関・部署でよく話し合った上で防災行動の内容と実施するタイミングを決めて、役割を明確にします。
防災行動は既存の防災マニュアルと整合の取れた内容にすると良いでしょう。
より詳しく防災マニュアルを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ゼロアワーとリードタイムを設定する
対象の災害と各機関・部署の防災行動を決めた上でゼロアワーとリードタイムを設定しましょう。
ゼロアワーとリードタイムの意味は、それぞれ以下のとおりです。
【ゼロアワー】
災害発生のタイミングのこと
【リードタイム】
防災行動を行うタイミングと防災行動に必要な時間のこと
2012年に起きたハリケーン・サンディでは、ゼロアワーが高潮発生時、リードタイムがハリケーン上陸時に設定されていました。
効果的に防災行動を行うためにはゼロアワーよりも早くリードタイムを設定し、迅速に防災行動をできるようにすると良いでしょう。
このゼロアワーとリードタイムは、あくまでも目安であり実際の災害発生時は状況に応じて変化していくので、覚えておきましょう。
タイムラインを時系列に並べる
想定する災害、機関・部門の防災行動、ゼロアワー・リードタイムを時系列で整理していき、タイムラインとしてまとめます。
タイムラインが複雑化してしまうと災害発生時に対応漏れや防災行動のタイミングを間違える原因となるので、機関・部門の連携を全体的にまとめたタイムラインとそれぞれの防災行動の詳細を書いたタイムラインの2つを用意しておくと安心です。
タイムラインを検証をする
タイムラインが完成したら防災行動を行う機関・部門に周知し、災害発生時に迅速に対応できるよう訓練や教育を通して浸透させていきましょう。
しかし一度作成したタイムラインを使い回すのではなく、定期的に改善していくことが重要です。
改善するタイミングは訓練終了直後がベストで機関・部門で意見を出し合って修正していけば、より効果的なタイムラインに近づいていきます。
また災害発生時は可能であれば災害の状況や実際にとった行動を時系列に記録し、災害の対応が終わった後に作成したタイムラインと比較すると良いでしょう。
自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
まとめ
今回はタイムラインの基礎知識と具体的な作成方法などを紹介しました。本記事の重要なポイントには、次の3点があげられます。
- タイムラインは、災害による被害を想定して防災行動などを時系列にまとめた計画のこと
- タイムラインの作成には防災行動を行う機関・部門との連携が必要不可欠
- 進行型災害と突発型災害で定めるタイムラインの内容は異なる
今回の記事を参考にして、災害発生後に迅速に対処できるタイムラインを作成しましょう。