
近い未来に向けて進むスマートシティと自治体・企業における取り組み事例4選
目次[非表示]
Society5.0の実現に向けて、現在は多くの自治体・企業で様々なスマートシティの取り組みが行われています。
しかし、中にはスマートシティに力を入れたくてもどのように進めていけば分からず困っている自治体や企業の担当者も少なからずいるでしょう。
そんな方のためにスマートシティの概要と自治体・企業における主な取り組み事例を説明していきます。
この記事を読むことでスマートシティに取り組む上でのヒントが分かるので、ぜひ参考にしてください。
※本記事で使用している画像は一部を除き、Adobe Stockで取得しています。
※2020年11月24日更新
スマートシティとは

スマートシティとは、IoTやAI、ビッグデータなどの最先端技術を活用して地域のインフラなどの機能を高めつつ、従来の様々な課題を解決するための取り組みのことです。
国土交通省都市局が発表する「スマートシティの実現に向けて【中間とりまとめ】」では、以下のようにスマートシティが定義されています。
【スマートシティの定義】
都市の抱える諸問題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図れる持続可能な都市または地区
日本政府が実現を目指す「サイバー空間とフィジカル空間を融合させたシステムで経済発展と社会的課題の解決を両立する」Society5.0に向けて、自治体・企業でスマートシティに関する取り組みが着実に進んでいます。
前述したようにスマートシティには、地域の課題を解決するために様々な種類の最先端技術が用いられており、具体的には以下の技術が活用されています。
- 5GやIoTなどの通信ネットワーク技術・センシング技術
- AIやビッグデータなどの分析・予測技術
- 自動運転
- ドローン など
自治体・企業でスマートシティが推進されている背景

スマートシティが推進されている背景には生産年齢人口減少や都市部への人口集中などがあげられます。
総務省が発表する「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント」によれば、2020年の生産年齢人口(15歳〜64歳)は7,367万6,767人と毎年のように減少傾向にあります。
さらに総務省の「2040年頃の社会保障を取り巻く環境」で説明されているように、このまま生産年齢人口が継続的に減少すると、2040年には5,978万人前後にまで落ち込むと予想されているのです。
また特に地方では今後も高齢化と過疎化が進むと考えられており、経済規模を縮小させないためには生産性の向上と働き手の確保をしなければなりません。
しかし、高度成長期の人口増加に基づいた今のインフラなどでは働き手の維持が難しいおそれがあるのです。
こうした課題を解決することはもちろん、地域をより住みやすくするためにスマートシティの推進が進められています。
自治体・企業における主なスマートシティの取り組み事例4選

では自治体や企業で具体的にどのようなスマートシティに関する取り組みが行われているのでしょうか。この章では自治体・企業におけるスマートシティの取り組み事例を説明していくので、特にこれからスマートシティに取り組みたいと考えている担当者は、ぜひ参考にしてください。
東京都港区の「Smart City Takeshiba」
東京都港区では、東急不動産株式会社とソフトバンクなどの5社が共同でスマートシティ・プロジェクトである「東京ポートシティ竹芝」に取り組んでいます。ソフトバンクが発表する「竹芝地区でスマートシティを共創」によれば、データ活用やスマートビルの建設だけでなく、ロボティクス、モビリティ、AI、VR、5G、ドローンなどの検証が計画されているのです。
2020年9月14日には、スマートビルである東京ポートシティ竹芝オフィスタワーが開業されており、1,000台を超えるセンサーや顔認証システムキャッシュレス決済などによってビル内の様々なデータをリアルタイムで集計・解析する仕組みが備わっています。例えばこの仕組みによって、店舗やエレベーター、トイレの混雑状況を把握・回避できるのです。
神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・ スマートタウン」
神奈川県藤沢市ではパナソニックやNTT東日本などの18企業と藤沢市の官民一体が進める「Fujisawaサスティナブル・ スマートタウン」が展開されています。このプロジェクトは、最先端技術の活用を前提としたスマートシティを考えるのではなく、地域住民の暮らしを豊かにすることに重きをおいていることが特徴であり、「100年先も生きるエネルギーがうまれる街」をコンセプトに以下の5種類に分けたタウンサービスを導入しているのです。
- Energy
- Security
- Mobility
- Wellness
- Community
例えばSecurityは、地域住民の安全な暮らしを確保するためにLED街頭路と連動して機能する防犯カメラを50台設置すると共にセキュリティ・コンシェルジュが街を見回っています。また災害が発生した場合に各世帯のスマートテレビで、自動的に気象庁などの防災情報の配信や安否確認をするシステムが構築されているのです。
福島県会津若松市の「スマートシティ会津若松」
福島県会津若松市では、IoTなどを活用して地域の活性化と地域住民の快適な暮らしの実現を図る「スマートシティ会津若松」が着手されています。会津若松市が発表する「スマートシティ会津若松」によれば、主に以下の取り組みが行われています。
【会津若松+】
登録情報やライフスタイルなどのデータ分析に基づいて、個人のニーズに沿った情報を提供する地域情報サイト
【母子健康情報サービス】
乳幼児健診・予防接種の記録、おすすめの予防接種日などが自動的に反映されるPC・スマートフォンのアプリ
【スマートアグリ】
IoTとデータの活用により、最適な水分・肥料、水位を調整するシステム
【オンライン診察】
タブレットなどを使って、通院が難しい患者を対象に医師がオンラインで診察する取り組み
農業振興の取り組みであるスマートアグリでは、養液土耕システム・水田水管理システム・栽培支援ドローンの3つがあります。養液土耕システムは、センサーが土中の水分量・温度・肥料濃度などを測定し、あらかじめ設定した水分・肥料を供給するシステムです。
水田水管理システムは、設定された水位へ自動的に調整する仕組みで、タブレットなどで水田の水位や水温を確認することができます。栽培支援ドローンの場合は、水稲などの生育状況を確認するほか、肥料・農薬の散布を行なっています。これらの仕組みによって農業にかかっていた労働時間を減少させることができるのです。
トヨタ自動車株式会社の「Woven City」
トヨタ自動車株式会社では、2020年末に閉鎖する予定のトヨタ自動車東日本株式会社東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に2021年から175エーカー(約70.8万m2)にわたるスマートシティの着工計画を立てています。
このスマートシティでは、人々の暮らしの中で自動運転、MaaS、スマートホーム技術、AIなどを導入・検証していくとしており、現時点では主に以下の取り組みを行うことが計画されています。
- センサーのデータを活用するAIで健康状態をチェック
- センサーで冷蔵庫にある飲食物の自動補充
- e-Paletteで配達や人を移動させるほか、移動用店舗として活用する
- 室内用ロボットなどの住民による検証
- 水素燃料発電や雨水ろ過システムなどインフラの地下への設置 など
プロジェクト初期段階ではトヨタ自動車従業員やその関係者ら約2,000人が住民として、Woven cityで暮らす計画となっています。
AI活用でリスク情報を迅速に把握できる「FASTALERT」
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
少子高齢化など今の社会課題の解決や経済のさらなる発展を目指すためにスマートシティの実現が不可欠だと考えられており、多くの自治体・企業の間で最先端技術を駆使したスマートシティが取り組まれています。
スマートシティに取り組む上では、はじめに最先端技術を活用しようとするのではなく、どのようにすれば地域を発展させられるのかを考えることが大事なので、この機会に改めてスマートシティの取り組みを見直すと良いでしょう。