
地震火災時に安全な地区内残留地区の概要と5つの防災対策
目次[非表示]
- 1.地区内残留地区とは?
- 2.地区内残留地区が定められている背景
- 2.1.災害発生時の2種類の避難
- 3.地区内残留地区でも油断は禁物
- 3.1.ハザードマップでリスクを把握する
- 4.災害に備えて企業が行うべき5つの防災対策
- 4.1.BCP・防災マニュアルを策定する
- 4.2.防災グッズを備蓄しておく
- 4.3.安否確認の手段を確保する
- 4.4.オフィスに安全対策を施す
- 4.5.リスク情報を収集する
- 5.最後に
- 6.関連お役立ち資料集
防災担当者の中には、地区内残留地区を調べていてもよく分からないと困っている方もいるのではないでしょうか。
地震発生時に伴う火災の延焼リスクが少ない地区内残留地区ですが、その他の災害リスクは発生するおそれがあるため、注意しなければなりません。
今回は地区内残留地区の概要や企業における防災対策などを説明していきます。
この記事を読めば勤務するオフィスが地区内残留地区に該当するかどうかを把握でき、的確な防災対応を定める上でのヒントが分かるので、ぜひ読み進めてください。
地区内残留地区とは?

地区内残留地区とは、もし地震に伴う火災が発生しても大規模な延焼のおそれがない区域のことです。
あくまでも地震発生時に大規模な延焼のおそれがない区域であって、決して延焼が発生しないということではありませんし、その他の水害などの災害の被害は発生するおそれがあるため、注意する必要があります。
東京都都市整備局が発表する避難場所等の概要でも説明されているように、建物の不燃化が進んでいることから地震火災発生時は基本的に別の場所へ避難する必要がないとされており、エリア内では火災が鎮火するまで待つ避難場所が設けられていません。
現時点では東京都都市整備局によって千代田区全域など東京都の一部の地域のみで設けられていますが、政令指定都市など今後は東京都以外の地域でも地区内残留地区が指定される可能性があります。
地区内残留地区に指定されているエリアの一覧は、東京都都市整備局が発表する避難場所等の概要で確認することができるので、事前に調べておきましょう。
地区内残留地区が定められている背景

地震に伴う火災発生時に備えて、東京都は不燃化の推進と共に地区内残留地区を指定するようになりました。
地震による火災発生時は、無理にその場から別の場所へ移動しようとすると被害に巻き込まれてしまうリスクがあるため、今いる建物周辺に被害が及んでいないのであれば、その場に留まっていた方が安全な場合もあります。
こうした背景から安全確保のためにむやみに別の場所へ避難しなくても良いように建物の不燃化と地区内残留地区の指定が行われるようになったのです。
災害発生時の2種類の避難
地区内残留地区では、災害発生時のとある避難方法に基づいて指定されています。
災害発生時の避難方法には、水平避難と垂直避難(屋内安全確保)の2種類がありますが、地区内残留地区は垂直避難に基づいた取り組みです。
【水平避難】
今いる場所から避難所など別の場所に移動する方法
【垂直避難】
今いる建物に留まって安全を確保する方法
しかし、災害の状況にもよりますが、水平避難と垂直避難のいずれかを臨機応変に選ぶ必要があり、もし災害の状況を見誤ると危険が伴ってしまうため、どちらが良いということはありません。
地区内残留地区でも油断は禁物

災害発生時は何が起こるのか分からないため、地区内残留地区であっても延焼の心配が全くないということはなく、場合によっては今いる建物から離れて安全な場所へ避難しなければなりません。
また地区内残留地区はあくまでも大規模な延焼のおそれがないエリアのことであり、地域によっては水害による被害が発生しやすいなど別のリスクに対しては脆弱な場合があるのです。
そのため、延焼リスク以外にもどのような災害が発生するのかを事前に想定し、的確な対策を実施しておく必要があります。
ハザードマップでリスクを把握する
今いる地域の災害リスクを把握するためには、ハザードマップが役立ちます。
ハザードマップとは、過去に起きた災害履歴に基づいて災害の規模や被災状況を予見し、安全な避難場所や避難ルートを記載した地図のことです。
自治体や国土交通省のHPで地震や水害など災害の種類別に用意されています。
しかし、予見に過ぎないので過信は禁物であり、場合によってはハザードマップで安全とされていた場所も被災してしまうケースもあるため、あくまでも1つの目安として参考にし、災害情報などを確認した上で最善と考えられる対応を行いましょう。
災害に備えて企業が行うべき5つの防災対策

突発的な災害による事業への損失を最小限に抑えるために、企業は平時から有効な防災対策を導入しておく必要があります。
そこで、この章ではどのような対策を導入すれば良いのか悩んでいる企業の防災担当者のために主な防災対策を説明していきます。
BCP・防災マニュアルを策定する
災害発生時に事業と従業員を守るためにあらかじめBCPと防災マニュアルを策定しておきましょう。
BCPとは、災害などのリスク発生時に事業と従業員への被害を最小限に抑え、事業の継続または早期復旧を図るための計画のことです。
BCPと防災マニュアルにはリスク発生時の対応を事前に定めておきますが、もし策定していない状態でリスクが発生した場合は的確な対応が取れず、最悪は被害が拡大してしまうおそれがあります。
事業と従業員をリスクから守るためにもBCP・防災マニュアルは策定しておきましょう。
詳しくBCPを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
防災グッズを備蓄しておく
災害などのリスクが発生した際に従業員が安全に避難生活を送れるようにあらかじめ防災グッズを備蓄しておきましょう。
一般的に電気・水道・ガスのライフラインの復旧や人命救助が落ち着くまでに3日程度かかると言われています。
しかし大規模な災害によって避難生活が長引く場合も想定して、3日分を最低限とし、余裕をもって1週間分の防災グッズを確保しておきましょう。
詳しく用意するべき防災グッズの種類や量を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
安否確認の手段を確保する
災害はいつどこで発生するのか分からないため、万が一の事態に備えて安否確認の手段を用意しておきましょう。
電話で十分だと考えている方もいるかもしれませんが、東日本大震災などで確認されているように災害発生時は安否確認で電話回線が輻輳状態に陥り、一時的に通信規制が実施されるため、法人向けSNSなど別の安否確認の手段を用意しておく必要があります。
またオフィスだけで操作できるようにしてしまうとスムーズに安否確認できないおそれがあるため、複数の担当者を選定した上でインターネットのブラウザで利用できるなどどのような場所でも操作できる安否確認の手段を用意しておきましょう。
詳しく安否確認の手段を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
オフィスに安全対策を施す
災害発生時にオフィスで垂直避難を選ぶ際は、オフィスが安全であることが重要ですし、二次被害を防ぐためにもあらかじめオフィス内に安全対策を実施しておく必要があります。
気軽で効果的なオフィス内の安全対策は、以下のとおりです。
【キャビネットなどを固定する】
転倒による下敷きを防ぐために壁になるべくつけ、突っ張り棒やL字金具で固定する
【PCやコピー機などのOA機器を固定する】
落下による負傷を防ぐためにジェルマットなどで固定しておく
【窓ガラスなどに飛散防止シートを貼る】
ガラス片による負傷を防ぐために窓ガラスやガラス製のドアなどに飛散防止シートを貼る
リスク情報を収集する
自然災害などのリスク発生時は情報収集によって状況を正しく把握し、すみやかに意思決定に基づく初動対応を開始する必要があります。
しかし、企業の場合は自然災害などのリスク発生時は混乱した状況の中で安全確保などの対応をしながら情報収集をしなければならないので、上手くいかない場合もあります。
そこで今回ご紹介したいのが、自然災害や事故などリスクの早期検知に役立つ弊社のFASTALERTです。
BCPや防災対策などを目的としてすでに全ての民放キー局や大手報道機関、一般企業、自治体で幅広く導入されているFASTALERTは次のメリットがあるため、迅速なリスク情報の把握はもちろん、スムーズに防災対応を開始することができます。
・災害など“報道前”のリスク情報がAIによってほぼリアルタイムで検知できる
・報道ではカバーしきれない地域などの細かい情報も調べられる
・1つのサービスで自然災害、事故、事件など幅広いリスクを把握できる

例えばFASTALERTでは2019年9月5日の京急脱線事故を事故発生から1分後に第1報を検知・サービス利用者に情報提供していましたが、これはテレビの報道よりも1時間15分ほど早かったことが分かっています。
本サービスをご利用いただければリスク情報の収集・分析にかけていた工数を大幅に減らせるため、ぜひFASTALERT基本紹介資料から資料をお申し込みくださいませ。
【サービス資料で分かる3つの内容】
・これまでFASTALERTが検知した主なリスク情報一覧
・業種ごとのFASTALERTの活用シーン
・現在ご利用いただいている企業さまのレビュー
※FASTALERTは、企業・自治体のお客様専用のサービスとなります。
※ソーシャルリスクレポートなどその他の資料は、こちらの資料ダウンロードからご覧ください。
最後に
地震に伴う火災の延焼リスクが少ない地区内残留地区ですが、必ずしも延焼が起きないとは限りませんし、その他の災害は発生するおそれがあります。
地区内残留地区に該当していても災害には様々な種類があるため、想定されるリスクを今から洗い出した上で災害別に的確な対策を定めておくと良いでしょう。