
企業が行うべき社員の防災意識を向上させるためのポイント
災害発生時に被害を最小限に抑えるためには、平時から社員の防災意識を十分に高めておくことが重要ですが、中には思うように社員の防災意識を向上できずに困っている企業の防災担当者もいるでしょう。
そこで本記事では防災意識が低下している状況が招くリスクと低下する主な原因、防災意識を向上させるためのポイントなどを説明していきます。
この記事を読むことで社員の防災意識を向上させるためのヒントが分かるので、ぜひ参考にしてください。
低い防災意識が招く深刻なリスク
災害発生時に的確な防災対応を行うためには、普段から防災意識を高く保っていることが必要不可欠であり、社員の防災意識が高ければ休日や出先で災害に巻き込まれてしまった場合でも冷静に対処できます。
防災に関する正しい知識をもち、災害発生時に適切な行動を取るための力のことを防災リテラシーと言いますが、防災意識が低い状態が続いている場合は、災害に巻き込まれた場合に的確な行動を取れないばかりか、被害が拡大してしまうリスクがあります。
さらに、これによって事業も主に以下のような深刻な事態に陥ってしまうおそれがあるのです。
- 被害が拡大したことによる事業の復旧の長期化
- 復旧が長期化することによるビジネスチャンスの喪失
- すみやかに防災行動をできた場合と比較して事業の復旧コストが嵩む
- サービスや製品の供給が遅れることによる顧客離れと売り上げの減少 など
災害発生時は予想以上の被害が発生するケースがあり、何が起こるのか分かりませんが、それでも災害による被害を最小限に抑えるためには日頃から可能な限り防災意識を高めて、災害に備えておくことが重要です。
防災意識が低下する主な原因
社員の防災意識を向上させるためには、企業側が常日頃から災害によってもたらされるリスクを社員に伝えなくてはなりません。
しかし、企業が以下のように効果的な防災教育を平時から十分に行なっていなければ、社員が具体的なリスクを想定できないことで、災害を軽視し、防災意識が低下してしまう原因にもなります。
- 災害によって企業に生じるおそれがあるリスクを周知していない
- 備蓄を行なっていないなど社員が防災に興味を持つ工夫をしていない
- 防災に取り組んでいても社員に目に見える形で十分に示せていない
- 同じ内容の防災訓練を繰り返すだけで形骸化している など
社員の防災意識を向上させるだけでなく、事業を災害による被害から守るためには全社が一体となって日頃から防災に取り組むことが不可欠であり、社員に十分に防災を浸透していない場合は災害発生時に的確な対応ができないおそれがあります。
企業が社員の防災意識を向上させるための鉄則
では、災害発生時に十分に備えるためには社員の防災意識をどのように向上させていけば良いのでしょうか。
この章では、企業における主な防災意識向上のための方法を説明していきます。
いずれか1つの方法だけでなく、複数の方法を並行して実施すれば社員の防災意識を効果的に高めていくことができるので、企業の防災担当者はぜひ参考にしてください。
災害がもたらすリスクを日頃から周知する
社員の防災意識を向上させるためには、企業で起こり得る災害とそれに伴って生じる被害、事業へのリスクを分かりやすく説明した冊子を定期的に社員に対して配ったり、ポスターをオフィスに貼ったりするなど、災害によるリスクを周知しておくと良いでしょう。
社員の防災意識が低下している状態だと災害による被害や事業に生じるリスクを明確に把握できず、実際の災害発生時に必要以上に混乱することによって、被害が拡大してしまうおそれがあります。
あらかじめ災害によって生じる悪影響を社員が把握していれば、効果的な防災行動へ見直す際に社員から意見を出しやすくなるため、平時から全社へ災害によるリスクを十分に周知しておくことが望ましいです。
防災訓練の内容を開催する度に変更する
防災訓練では、災害発生時の状況を想定したシナリオを用意した上でBCP(事業継続計画)・防災マニュアルで定めた防災行動の効果検証を行なっていきます。
しかし、防災訓練の実施自体が目的になってしまい、毎回のように同じ内容を繰り返しているだけの形骸化した防災訓練に陥った場合は、想定外の事態が発生した際に対応できなくなりますし、参加者の社員も「もうその対応は分かっている」と防災訓練への意欲が低下してしまうのです。
またマンネリ化した防災訓練を続けていては社員の防災意識が低下してしまうため、もし企業で定めた今の防災対応に不備があったとしても問題提起する意見が出されなくなるおそれがあります。
そのため、火災から地震に変えたり、参加者の役割を変更するなどの毎回、異なった内容の防災訓練を実施し、可能な限り災害発生時の想定外を減らしていきましょう。
詳しく防災訓練で必要なシナリオを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
ローリングストック法を社員間で実践する
災害発生時に備えて備蓄している食糧などの防災グッズをローリングストック法で定期的に消費し、社員に防災を浸透させていくことが大切です。
ローリングストック法とは、人数よりも多めに用意した食糧などの防災グッズを消費した分だけ買い足していく方法のことであり、定期的に消費することで災害で避難生活を余儀なくされた場合に消費期限切れで食べられなかったという最悪の事態を回避することができます。
また備蓄した食糧などの防災グッズをローリングストック法で日頃から消費していれば、自ずと社員の防災意識も高めることもできるでしょう。
今回は簡易的な説明となりましたが、詳しくローリングストック法を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
防災ゲームも定期的に行う
社員の防災意識を向上させるためには、防災ゲームを定期的に開催することも効果的です。
防災ゲームとは、災害発生時の対応や知識などを学べる防災教育ツールの1種のことであり、大掛かりな防災訓練よりも気軽にゲーム感覚で行えることから自治体から家庭まで幅広いシーンで活用されています。
防災ゲームでは、避難者をどこに誘導するのか、どの避難ルートを選ぶのかなどの判断が参加者に常に求められるため、災害発生時に的確な防災行動を取るために必要な冷静な判断力を養うことができます。
詳しく防災ゲームを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
災害発生時に備えるためには社員の防災意識を普段から十分に高めておくことが非常に重要であり、もし防災意識が低下している状態で災害に巻き込まれてしまった場合は被害の拡大によって深刻な事態に陥ってしまうおそれがあります。
この記事を参考に平時から社員の防災意識の向上を図って、十分に災害に備えておきましょう。