
3日分の非常食などの防災グッズが企業に求められている理由
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災害発生時に備えて一般的に3日分の非常食などの備蓄が求められているケースが多いですが、これから防災対策の一環として備蓄を始めようと考えている企業担当者の中にはなぜ3日分の非常食が必要なのか分からない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は3日分の非常食などの防災グッズが必要な理由や備蓄しなかった場合の企業におけるリスクなどを説明していきます。
この記事を読むことで防災対策としての備蓄の理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。
72時間の壁と3日分の非常食が求められている理由
防災対策としての非常食は3日分の備蓄が一般的であり、企業の場合は以下の東京都帰宅困難者対策条例17号などで3日分の食糧など防災グッズの備蓄が求められていますが、なぜ3日分が必要なのでしょうか。
【東京都帰宅困難者対策条例17号】
事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します
それを考えるにあたっては、まず72時間の壁を把握しておく必要があります。
72時間の壁とは、人命救助のタイムリミットのことで、災害発生時のデータでは72時間(被災後の3日間)を経過すると著しく被災者の生存率が低下する傾向があるため、72時間以内の救助が目指されています。
企業の場合、前述した帰宅困難者対策で3日分の非常食などの防災グッズが求められていますが、3日分の非常食などを備蓄していなければ以下のリスクが発生してしまうおそれがあるのです。
- 非常食などを十分に備蓄していないことで帰宅困難者となった従業員をオフィスに滞在させられない
- 帰宅困難者となった従業員が無理な帰宅を行うことで群衆雪崩などの二次被害に巻き込まれたり、人命救助などの妨げになったりするおそれがある
- 非常食などの防災グッズを備蓄していないことで従業員が安全に避難生活を送れない
前述したように被災後は、72時間以内の人命救助が目指されていますが、もし企業が帰宅困難者対策の一環として非常食などの防災グッズを備蓄していなかった場合は、帰宅困難者になった従業員をオフィスにとどまらせることができないことで人命救助の妨げになってしまうのです。
また、被災後は一般的に電気・水道・ガスなどのライフラインが復旧するまでに3日程度かかると言われており、あらかじめ非常食などの防災グッズを十分に備蓄していなければ従業員が安全に過ごすことができません。
今回は簡易的な説明となりましたが、72時間の壁の根拠や帰宅困難者を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
あくまでも3日分は必要最低限
前述したようにライフラインの一般的な復旧期間や72時間の壁に基づいて、東京都帰宅困難者対策条例などでは3日分の非常食等の防災グッズの備蓄が求められていますが、これはあくまでも必要最低限の量です。
3日分の非常食などの防災グッズを用意していても、大規模な災害が発生した場合は、電気・水道・ガス等のライフラインの復旧が長期化し、3日分の非常食を含む防災グッズでは不足してしまうおそれがあります。
そのため、大規模な災害が発生した場合も考慮して3日分を必要最低限とし、余裕をもって1週間分以上の非常食などの防災グッズをあらかじめ備蓄しておくことが望ましいです。
非常食をはじめとした用意するべき防災グッズの種類を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
企業が非常食などを備蓄していない場合のリスク
東京都帰宅困難者対策条例17号などで企業に求められている非常食などの防災グッズの備蓄ですが、あくまでも現時点では努力義務であるため、備蓄していなかった場合の罰則は特に設けられていません。
しかし、企業とはこの条例とは別に以下の労働契約法5条で従業員に対する安全配慮義務が法的に課せられており、従業員の安全確保に注力する必要があります。
【労働契約法第5条】
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
この安全配慮義務は災害発生時においても例外ではなく、災害によって従業員が受けると考えられる被害に関しては可能な限り回避しなければならず、安全配慮義務の観点でも従業員のために非常食などの防災グッズを用意しておくことは必要不可欠です。
もしコストが惜しいからと一切の非常食などを備蓄していなかったことが要因となって従業員が被害を受けた場合は、安全配慮義務を怠っていたと法的責任を問われ、従業員に賠償金を支払わなければなりませんし、ステークホルダーからの信用低下も免れません。
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
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最後に
被災後に安全に避難生活を送るためには、あらかじめ非常食などの防災グッズを備蓄しておくことが必要不可欠であり、もし企業が非常食などの用意をしていなかった場合は従業員が被害を受けてしまうだけでなく、安全配慮義務違反に問われるおそれがあります。
この記事を参考にして、従業員を守るために非常食などの防災グッズを事前に用意しておきましょう。