
避難中におけるエコノミークラス症候群の恐怖と予防方法4選
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災害発生時に安全な避難場所で移動できたとしても、油断は禁物です。
十分に対策しなければ避難生活を送る中でエコノミークラス症候群を発症してしまうリスクがありますが、どのように予防すれば良いのか分からない方も中にはいるのではないでしょうか。
そこで今回はエコノミークラス症候群の基礎知識と発症リスクを防ぐための主な対策などを説明していきます。
この記事を読むことで効果的なエコノミークラス症候群対策が分かるため、災害発生時に安全な避難生活を送る上で役立つでしょう。
また後述する「的確な防災行動を取るためには、リスク情報の収集が欠かせない」では、災害発生時の情報収集や防災対応を行う上で役立つサービスの紹介もしていますので、ぜひ最後まで読み進めてください。
「エコノミークラス症候群」とは

エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症または旅行者血栓症)とは、長時間にわたって同じ姿勢でいるなど十分に身体を動かさずにいることで血栓が生じたり、血栓の一部が肺の静脈を詰まらせたりする病気です。
呼吸困難や胸痛、失神などを発症し、最悪の場合は突然死するおそれがあり、航空機のエコノミークラスで発症する事例が多かったことからエコノミークラス症候群と命名
災害で避難した際の注意点
現在は航空機のエコノミークラスだけで発症するとは限りません。
地震などの災害発生時に避難所など安全な場所へ移動しても、十分に気をつけなければ慣れない避難生活を送る中でエコノミークラス症候群など災害で間接的に亡くなる災害関連死につながるおそれがあるので、ご注意ください。
以前は、災害発生時に避難所では多くの被災者が床の上での雑魚寝を強いられたケースもあり、これによってエコノミークラス症候群が発症するリスクが高まっていました。
現在では避難所での新型コロナウイルスによる集団感染リスクを低減させるために自宅や知人宅、ホテル・旅館など様々な場所へ分散避難が推奨されています。
しかし、避難者の方の中には未だ乗用車で一時的に車中泊で避難生活を送る方もいますが、一般社団法人避難所・避難生活学会が発表する「新型コロナウイルス感染拡大における車中泊の危険性について」でも説明されているとおり、車中泊避難はエコノミークラス症候群の発症リスクが高まりますので、十分に対策することが望ましいです。
エコノミークラス症候群以外にも災害関連死を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
避難生活で発症したエコノミークラス症候群の2つの事例

次に避難生活でエコノミークラス症候群の被害を受けた事例を説明していくので、ぜひ参考にしてください。
2004年10月23日 新潟県中越地震
エコノミークラス症候群の事例の1つに、新潟県中越地震が挙げられます。
この災害では、大勢の被災者が避難所に集まったことで、人数超過状態となり、仕方なく車中泊避難を行う方がいらっしゃいました。
結果、エコノミークラス症候群を発症する方が多く確認され、このうちの4人が亡くなってしまったのです。
この痛ましい出来事がきっかけとなって二次被害としてのエコノミークラス症候群が注目されるようになりました。
2016年4月14日 熊本地震
最近の事例としては、熊本地震があげられます。
この震災では、被害によって18万人の方が避難を余儀なくされ、余震を警戒して車中泊避難を選ぶ方もいましたが、避難中にエコノミークラス症候群を発症した被災者はなんと54人にも上りました。
車中泊避難をしていたこのうちの1人はエコノミークラス症候群によって車から出た直後に倒れ、亡くなってしまったのです。
エコノミークラス症候群の発症リスクを低減させるための対策4選

では、安全な避難生活を送る上でエコノミークラス症候群の発症リスクを下げるためには、どのように対処すれば良いのでしょうか。
この章ではエコノミークラス症候群の発症を防ぐための主な対策を説明していくので、ぜひ読み進めてください。
適度に水分をとる
エコノミークラス症候群の発症を防ぐためには、定期的な水分補給が欠かせません。
水は大人1人当たり1日約2Lの水分を摂取する必要があります。
避難生活が長引く場合も想定して、1週間分(約14L)の水を確保しておくと安心です。
避難所などで避難生活を送る場合、混雑や寝ている人を起こさないようにするなどの理由によってトイレに行く頻度を少しでも減らそうと水分補給を控える方も見受けられます。
しかし水分が不足すると脱水症状に陥り、血液がドロドロの状態になることでエコノミークラス症候群につながる血栓が発生しやすくなってしまうので、適度な水分補給を心がけることが大切です。
また飲料水が不足・十分な水分補給ができない事態を防ぐために、あらかじめ余裕をもった量の飲料水を防災グッズとして備蓄しておくと良いでしょう。
定期的に身体を動かす
エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢を取り続けることで血の流れが滞った結果、発症します。そのため、血液の循環を良くするために定期的にストレッチやウォーキングなど軽く身体を動かしましょう。
また車中泊をする方の中には、シートを軽く倒して足を下に向けた状態で睡眠を取る方もいます。
しかし、それでは血行不良によってエコノミークラス症候群を発症するリスクが高まってしまうため、きちんと足を心臓の高さまで上げた状態で過ごすことが大切です。
弾性ソックス・ストッキングを着用する
エコノミークラス症候群の発症を防ぐために弾性ソックスまたはストッキングを着用しましょう。
「足を圧迫すると血栓ができてしまうのでは?」と考える方も本記事を読む方にはいるかもしれません。
しかし、実際には膝下を弾性ソックス・ストッキングで適度に圧迫することで正常な血液の流れをサポートできるのです。
もちろん、サイズの合わない小さな弾性ソックス・ストッキングであれば血行障害を引き起こしてしまうため、必ずサイズの合う製品を選びましょう。
※糖尿病や動脈硬化などで普段から足の動脈の血流が悪い方も血行障害などにつながるおそれがあるため、弾性ソックス・ストッキングの着用をやめましょう。
段ボールベッドを利用する
床の上で寝ると身体が冷えることで交感神経が刺激され、安眠できないばかりか血栓が発生しやすくなってしまいます。そのため、床で寝るのは控えて、段ボールベッドを活用すると良いでしょう。
一般社団法人避難所・避難生活学会の榛沢和彦理事長が発表する「避難所のあり方、海外との比較」でも説明されているとおり、床の上に敷いた毛布などでは冷気が伝わるおそれがありますが、床からの高さがある段ボールベッドであれば完全に冷気を遮断できます。
以前は組み立てに時間がかかってしまう傾向にありましたが、最近はわずか30秒ほどで完成する段ボールベッドもあるので、万が一のために備えて備蓄を検討しましょう。
詳しく段ボールベッドを知りたい方は、筆者が実際に段ボールベッドの組み立てに挑戦した以下の記事をご覧ください。
災害発生時に的確に行動するためには、リスク情報の収集が欠かせない

自然災害などのリスク発生時には被害を最小限に抑えるために事業を守るためには可能な限り迅速かつ正確に情報収集し、防災対応を始めなければなりません。
しかし対処するべきリスクは多岐にわたるため、リスクの種類にあわせたツールの導入など人的・時間的コストがかかりますし、人の目だけではどうしてもリスクの把握が遅れてしまうおそれがあります。
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最後に
避難生活中にエコノミークラス症候群などの発症によって最悪の場合は災害関連死につながるおそれがあるため、安全のためには細心の注意を払わなければなりません。
本記事を参考にして、エコノミークラス症候群の発症リスクを下げて安全な避難生活を目指しましょう。