
災害関連死の覚えておきたい基礎知識と発生を防ぐ4つの対策
目次[非表示]
- 1.そもそも災害関連死とは
- 2.災害関連死が起こる原因
- 3.避難所で求められているTKB
- 4.災害関連死を防ぐための4つの方法
- 4.1.防災テントを用意する
- 4.2.備蓄品を確保しておく
- 4.3.簡易トイレを準備する
- 4.4.こまめに水分をとる
- 5.自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
- 6.まとめ
- 7.関連お役立ち資料集
災害発生から避難所へたどり着いても、慣れない避難生活でのストレスによる持病の悪化など様々な要因が重なって命を落とす災害関連死が起きる可能性があります。
何としてでも防ぎたい災害関連死ですが、どのように対策すればいいのか分からないという方も少なくないはずです。
今回はそんな方のために災害関連死の基本と災害関連死が起きる原因、具体的な対策方法などを紹介していきます。
この記事を読むことで適切に災害関連死に対して対策を行えるようになるので、ぜひ参考にしてください。
そもそも災害関連死とは

災害関連死とは、建物の倒壊など災害の被害によって直接亡くなるのではなく、避難所で病気の発症や持病の悪化などで間接的に亡くなることです。
特に地震の場合、地震による建物の倒壊などで直接する死亡よりも災害関連死で亡くなる方が多くなっています。復興庁は災害関連死の定義を以下のように定めています。
『当該災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔意金の支給等に関する法律(昭和48年法律第82号)に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの』
上記はあくまでも災害関連死の定義であり、災害関連死かどうかの判断は、災害が発生した地域の自治体が災害弔意金の支給等に関する法律(昭和48年法律第82号)に基づいて独自に行なっています。
また災害関連死と認定されるには亡くなった方の遺族が災害弔意金の支給に申し込む必要があるため、申請されていない場合も考慮するとデータ上の人数よりも災害関連死で亡くなった方はずっと多いとされています。
災害関連死は1995年に発生した阪神淡路大震災を機に生まれました。阪神淡路大震災では、過労死や病死などの災害関連死によって919人の方が亡くなられました。
震災の場合は、震災関連死と呼ばれることがあります。
災害関連死が起こる原因

なぜ災害関連死が発生するのでしょうか。災害関連死が発生する理由としては主に以下の要因があげられます。
- エコノミー症候群
- 慣れない避難所でのストレス
- 水分や栄養不足などの衰弱死
- 人手不足により適切な治療が受けられない
- 避難などの疲労による交通事故
- 復旧中の過労死 など
2004年に発生した新潟県中越地震では車中泊をしていた4人がエコノミー症候群で亡くなりました。
エコノミー症候群とは、長時間同じ姿勢でいると血栓ができ呼吸困難や失神などを引き起こす病気で、発症すると最悪は命を落とします。
通常の日常生活よりも歩行が少なくなり、同じ姿勢でいることの多い車中泊や避難所での生活は発症する可能性が高くなるため、注意が必要です。
また避難生活は肉体的にも精神的にも辛いため、慣れない避難所の生活が負担となり亡くなってしまうケースが後を絶ちません。
避難所で求められているTKB

避難所での生活は負担が大きく、現在の避難所は不潔で数の足りないトイレ・冷たいままの食事・大量の人がいる中での雑魚寝という状況になっており、これが災害関連死へつながっている場合もあるのです。
避難所・避難生活学会が発表した自然災害と避難所によれば、このような劣悪な環境の避難所は先進国では、日本だけだと言います。
災害関連死を防ぐためにできるだけ避難所を過ごしやすくするように避難所・避難生活学会の専門家たちがTKBを提言しています。
TKBとは人間が生活する上で欠かせないトイレ・キッチン・ベッドの頭文字をとった合言葉で、避難生活を改善するために避難所の快適で十分な数のトイレ・温かい食事・簡易ベッドの導入を避難所に求めているのです。
日本と同じく頻繁に地震が発生することで知られるイタリアでは、法律で災害発生から48時間以内に仮設トイレやテント、ベッド、キッチンなどを準備するように義務付けられています。
避難所・避難生活学会は、このイタリアの迅速な対応を目指してTKBを提言しているのです。
災害関連死を防ぐための4つの方法

ここまで災害関連死の基本を解説しました。次に災害関連死のリスクを減らすための対策方法を紹介していきます。どれも参考になる情報ばかりなので、ぜひ読み進めてください。
防災テントを用意する
先ほど説明したエコノミー症候群を防ぐために防災テントを準備しておくと良いでしょう。
一定の空間を確保できる防災テントであれば、狭い車内や避難所よりも体を自由に動かせるので、同じ姿勢を取り続けることで発症するエコノミー症候群の心配がありません。
また混み合いやすい避難所ではなく、野外に防災テントを設営すればプライベートを確保できるため、余計なストレスを減らすことができます。
※避難所に持ち込める物は、混雑状況によって異なります。そのため、他の人の迷惑にならないように基本的に防災テントは野外で設営してください。
もちろん普段からテントを設営する習慣がないと負担がかかってしまうため、アウトドア慣れしていない初心者の方でもすぐに設営できるワンタッチテントなどを選ぶと良いでしょう。
さらに詳しく防災テントを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
備蓄品を確保しておく
万が一の事態に備えてきちんと防災グッズを用意しておきましょう。
一般的に水道・ガス・電気などのライフラインの復旧や支援物資の到着までに3日程度かかると言われています。
そのため、3日分を必要最低限とし余裕を持って1週間分の防災グッズを確保しておきましょう。
また避難所生活では食生活が偏ってしまい栄養失調に陥るおそれがあるため、事前に栄養バランスの取れた非常食を用意しておくと避難生活が長期に及ぶ場合も安心です。
さらに避難所では温かい食事が提供されない場合も十分に考えられるため、あらかじめ発熱剤入りの非常食などを確保しておくと良いでしょう。
より詳しく防災グッズや非常食を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
簡易トイレを準備する
事前に簡易トイレを確保しておきましょう。
というのも避難所のトイレは短期間で多くの方が利用するために、どうしても不衛生な状態になりやすく、感染症が避難所で蔓延するおそれがあるからです。
またこの不衛生なトイレを嫌って水分補給を控えるなどトイレを我慢する方もいますが、その場合、エコノミー症候群が発症する可能性が高くなってしまいます。
前述しましたがライフラインの復旧までに一般的に3日程度かかると言われており、1日の成人1人あたりの排泄回数は大便が1〜2回、小便が4〜7回が平均です。
そのため、3日分(27回分)を必要最低限とし避難生活が長引くことも考えて1週間分(63回分)の簡易トイレを用意しておくと安心です。
より詳しく簡易トイレを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
こまめに水分をとる
避難生活中は特に水分補給をきちんと行いましょう。体の水分が少なくなると血液が固まりやすくなることでエコノミー症候群が発症する可能性が高くなります。
また脱水症状が起きると脳梗塞や心筋梗塞の引き金となってしまうおそれがあるため、必ず定期的に水分補給をしてください。
用意する水の量としては、1人あたり3日分(9L)を最低限とし、余裕を持って1週間分(21L)の水を準備しておきましょう。
さらに備蓄品としての水を知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
まとめ
今回の記事では災害関連死の基礎知識と災害関連死を防ぐための対策などを紹介しました。最後にもう一度おさらいすると本記事の重要なポイントには、次の2点があげられます。
- 災害関連死とは、災害によって直接亡くなるのではなく、避難中の病気の発症など間接的に死亡すること
- 避難中は注意しておかないとエコノミー症候群が発症するおそれがある
今回の記事を参考にして、きちんと災害関連死の対策を立てておきましょう。