
企業が知るべき防災備蓄の予備知識と備蓄を効果的に行うコツ
目次[非表示]
- 1.企業は3日分の備蓄が求められている
- 2.備蓄するべき主な防災グッズ
- 3.備蓄品の3つの保管方法
- 3.1.キャビネットに保管する
- 3.2.空き部屋や倉庫にまとめておく
- 3.3.あらかじめ従業員に配布する
- 4.備蓄品のおさえておきたい3つのポイント
- 4.1.消費期限切れをローリングストック法で防ぐ
- 4.2.余った非常食はフードバンクに寄付する
- 4.3.日常備蓄でコストを抑える
- 5.自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
- 6.まとめ
- 7.関連お役立ち資料集
大規模な災害が発生し、鉄道など公共交通機関の復旧の目処が立たない場合、従業員の安全を確保するため、地域によっては企業に従業員の帰宅を3日間抑制する条例が定められているケースがあります。
事業所内にとどまる従業員のために水や食料などの備蓄品の準備が必要不可欠ですが、具体的にどのように防災備蓄を行えば良いのか困っているという防災担当者の方も少なからずいるでしょう。
今回はそんな方のために企業の防災備蓄の基礎知識や備蓄品の保管方法、用意した備蓄品を無駄にしないためのポイントなどを紹介していきます。
この記事を読むことで適切に防災備蓄を行えるようになるので、ぜひ読み進めてください。
企業は3日分の備蓄が求められている

一般的に水道・ガス・電気のライフラインの復旧や支援物資の到着に3日程度かかると言われていますが、広範囲にわたる災害が発生したことも想定して、3日分を必要最低限とし、余裕を持って1週間分の備蓄品を準備しておきましょう。
また、東日本大震災をきっかけに東京都などの各自治体が発表した条例やガイドラインでは、最低3日分の備蓄品を用意しておくよう定められています。
◆東京都:東京都帰宅困難者対策条例第17号
事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の三日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します。
◆大阪府:事業所における「一斉帰宅の抑制」対策ガイドライン
従業員等の一斉帰宅により救助・救急活動の妨げとならないようにするため、発災後3日間は企業等が従業員等を施設内に待機させられるよう、備蓄量の目安は最低3日分とする。
対象となるのは雇用形態(正規・非正規)を問わず事業所内で働く全従業員であり、全従業員分の備蓄品を用意しておくのがベストです。
用意する主な備蓄品(3日分)の目安としては以下のとおりになります。
【全従業員が20人の場合】
飲料水:1人あたり1日3Lのため、60L
備蓄食:1人あたり1日3食のため、60食分
ヘルメット・ライト・毛布:人数分
東京都帰宅困難者対策条例にある「努力義務」とは「〜するよう努めなければならない」という意味合いであり、違反したからといって特に罰則はありません。
しかし、備蓄品のコストやスペースが惜しいからと一切、用意しないのは得策ではないので、万が一の事態に備えてできる限りの備蓄品を揃えておくと良いでしょう。
備蓄するべき主な防災グッズ

これから備蓄を始めるという防災担当の方は、どんな防災グッズを用意すれば良いのか分からず困っているという方も少なくないはずです。
まずは必要最低限の備蓄品である以下のグッズを揃えていくと良いでしょう。
- 飲料水
- 非常食・携帯食
- 簡易トイレ
- 防災ラジオ
- 防災ヘルメット
- 軍手
- 防災ライト
- ウェットティッシュ、ボディシート
- 使い捨てカイロ・毛布
- 救急用品
もちろん人数分の避難セットを購入する手もありますが、救急用品の量が足りない場合もあるので、不足している備蓄品を別途購入する必要があります。
ここでは簡易的な紹介となりましたが、より詳しく備蓄品を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
備蓄品の3つの保管方法

ここでは備蓄品の保管方法を紹介していきます。
防災備蓄に取り組みたくてもスペースがネックとなり、導入を躊躇っている方もいるはずですが、スペースに余裕がなくても保管できる方法もあるので、ぜひ読み進めてください。
キャビネットに保管する
オフィスにある書類用キャビネットに備蓄品をまとめて保管する方法となります。
フロアが多い会社はエレベーターが停止する事態も想定して各フロアのキャビネットに備蓄品を分散させておくと安心です。
今のキャビネットでは備蓄品を入れるスペースが足りないという場合は、備蓄品専用のキャビネットが販売されているので検討すると良いでしょう。
空き部屋や倉庫にまとめておく
事業所内の空き部屋や倉庫に備蓄品をまとめて保管する方法です。他に物が置いてある場合、トラブル発生時にすぐに取り出せるよう整理・整頓をしておく必要があります。
また地震を想定して保管する棚などに転倒・落下対策を行なっておくと、いざという時も安心です。
※高く積み上げてスプリンクラー設備の放水ヘッドを塞いだり、機械室を倉庫として使ったりすると消防法などの違反になるので、備蓄品を保管する際はよく注意しましょう。
あらかじめ従業員に配布する
まとめた備蓄品を事前に従業員に配っておく方法です。
従業員それぞれのデスクの引き出しに防災グッズを保管してもらえば備蓄のためのスペースをとりませんし、個人の防災意識向上にも繋がります。
備蓄品のおさえておきたい3つのポイント

ここでは備蓄品を備えておく上でのポイントを解説していきます。ぜひ参考にしてください。
消費期限切れをローリングストック法で防ぐ
せっかく非常食を備蓄していても、そのまま放置していたばかりに万が一の時に消費期限切れで食べられないのでは意味がありません。
それを防ぐためにローリングストック法を使いましょう。
ローリングストック法とは、備蓄した非常食を古いものから定期的に消費していき、食べた分だけ買い足していく方法です。
この方法であれば常に鮮度の良い非常食を確保しておくことができます。
定期的に非常食を食べることでどのような非常食が口に合うのかが見極めやすくなるので、防災訓練の際に従業員に食べてもらようにすると良いでしょう。
余った非常食はフードバンクに寄付する
備蓄に慣れないうちは非常食を余らせてしまう場合もあるでしょう。そういった場合は、フードバンクに寄付しましょう。
フードバンクとは、過剰在庫や商品パッケージの印字ミスなど様々な理由により、一般に流通できない食品を生活困窮者や施設などへ提供する企業向けのサービスです。
企業側には、非常食の廃棄コストを削減できるほか、社会貢献に取り組めるというメリットがあるため、非常食が余っているなら積極的にフードバンクに持ち込むと良いでしょう。
日常備蓄でコストを抑える
日常備蓄とは、普段使っているトイレットペーパーや来客用のペットボトルの水などを災害に備えて多めに用意しておくことです。
もちろん非常食など備蓄品の準備は不可欠ですが、日常備蓄を取り入れることで揃える備蓄品の量を減らせるため、コストを抑えられます。
例えば普段使いのためにウォーターサーバーや自動販売機を設置する、軽食・菓子コーナーを用意するといった工夫をすると良いでしょう。
自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
まとめ
今回は企業の防災備蓄の基本と備蓄品の保管方法などを解説しました。最後にもう一度おさらいすると本記事の重要なポイントには、次の3点があげられます。
- 3日〜1週間分の備蓄品を用意しておく
- 雇用形態を問わず全従業員分の備蓄品を準備するのが理想的
- 非常食はローリングストック法で消費期限切れを防ぐ
この記事を参考に万が一の事態に備えて防災備蓄に取り組みましょう。