
クライシスコミュニケーションがリスクの影響を左右する理由
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個人だけでなく企業などでもSNSが利用されている現在は情報の伝達スピードが素早いため、リスク発生後におけるクライシスコミュニケーションの重要性がより増しています。
しかし、そもそもこのクライシスコミュニケーションがよく分からないという担当者の方も少なからずいるでしょう。
今回はそんな方のためにクライシスコミュニケーションの基礎知識とリスクコミュニケーションの違いなどを説明していきます。
この記事を読むことでクライシスコミュニケーションの重要性が分かるので、ぜひ参考にしてください。
発生したリスクの低減を図るクライシスコミュニケーション

企業の不祥事など発生したリスクの低減を図る上では、クライシスコミュニケーションが欠かせません。クライシスコミュニケーションとは、リスク発生後に一般消費者・取引先・メディアに対して対外的に行う危機管理対応のことです。不祥事などの謝罪会見をイメージすると分かりやすいでしょう。
クライシスコミュニケーションは正確な情報開示と誠意ある対応が重要であり、謝罪会見で失言や誤解を招く発言などがあれば、さらなる批判などリスクによる被害の拡大に繋がります。
さらに発生したリスクをステークホルダーなどの外部に公表しなかったり、公表を遅らせたりしてしまうとメディアなどによって露見した場合に、不信感を抱かれることでクライシスコミュニケーションが失敗に終わるおそれがあるため、発生したリスクを上層部に正確に伝えて、クライシスコミュニケーションに直ちに取り組むことが重要です。
クライシスコミュニケーションの例としては、雪印食品株式会社の牛肉偽装事件があげられます。当時の2002年、BSE(牛海綿状脳症)問題で経営不振に陥っていた雪印食品株式会社は、業績悪化を回復させるために政府の国産牛肉買取制度を悪用。本社や関西ミートセンターで安価な外国産牛肉に国産のラベルを貼って偽装し、補助金を騙し取っていたのです。
雪印食品株式会社の取引先がマスコミへ内部告発したことによって、この事実が明るみに出ました。謝罪会見で雪印食品株式会社の吉田社長は関西ミートセンターの独断で本社は関与していないと説明しましたが、実際は本社でも偽装工作は行われており、ステークホルダーの信頼が大きく低下してしまったのです。
その後も新たな不祥事や事業継続を図るために従業員1,000名を一方的に解雇したことなどが発覚した結果、企業イメージが大幅にダウンし、雪印食品株式会社は解散へと追い込まれました。
この雪印食品株式会社のクライシスコミュニケーションでは、調査不足や事実とは異なる発言、誤解を招く対応などの問題があったと考えられ、こうした事態に陥らないように適切なクライシスコミュニケーションが必要不可欠となります。
また「一部の店舗のクレームだと捉えていたら、大規模な食中毒に繋がった」など発生したリスクを軽視してしまうとさらに被害が拡大するおそれがあるため、リスクを徹底的に調査をした上で適切な対応をとることが重要です。
リスクコミュニケーションとの違い

リスクコミュニケーションとは、工場の有害化学物質など企業が抱えるリスクを取引先や一般消費者・本社周辺に住む地域住民などのステークホルダーに情報共有し、相互理解を目指す手法のことです。
クライシスコミュニケーションがリスクが発生してから情報開示などの対応を行うのに対して、リスクコミュニケーションはリスク発生前に起こる可能性のあるリスクを共有し、意見交換を行います。
リスクコミュニケーションは企業がステークホルダーに対してリスクを理解するように一方的に説得するのではなく、リスクを共有して両者でリスクの対策を考えていくため、一方的な情報共有にならないように注意しましょう。
さらに詳しくリスクコミュニケーションを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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まとめ:誠意をもったクライシスコミュニケーションが重要
不祥事など企業のリスクによる影響がどうなるのかは、クライシスコミュニケーションが上手くいったかどうかで決まると言っても決して過言ではありません。
日頃からクライシスコミュニケーションに関する訓練を行なった上で、リスクが発生した場合はステークホルダーへ正確な情報を開示するなどの対応が重要であり、誠意をもって取り組むことが大切です。