
クラスターなど新型コロナウイルス用語の課題と正しい意味
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(最終更新日:2020年5月18日)
新型コロナウイルス関連する政府の発表や報道などでは、「クラスター」や「オーバーシュート」などさまざまな専門用語が飛び交っています。
しかし聞き慣れない言葉なので、意味をあまり分かっていない方も中にはいるはずです。
今回はそんな方のためにクラスターなど新型コロナウイルスに関する専門用語の現状とその意味などを説明していきます。
この記事を読むことで新型コロナウイルスの情報を正しく把握することができるので、ぜひ参考にしてください。
※本記事公開時点での情報が含まれています。今後の動向によって内容が変わるおそれがある点にご注意ください。
現状はクラスターなどが正しく伝わっていない傾向がある

新型コロナウイルスの感染拡大によって政府や報道などの公的機関が「クラスター」といった専門用語を使っています。
しかし、本来とは異なる意味で使われている専門用語もあり、英語圏で暮らす方からも海外では伝わらない可能性が高いという声が上がっているのです。
さらに、それだけでなく一般市民にも正しい意味が認知されていないおそれがあります。
この状況を踏まえて英語に堪能な自由民主党所属の衆議院議員である河野太郎氏が以下のように新型コロナウイルス関連の専門用語に対してTwitterで苦言を呈しました。
J-CASTニュースが発表する『「分かりやすい日本語を」防衛省の申し入れ 河野太郎氏は過去にも「カタカナ用語」に取り組む』によれば、河野太郎氏は実際に2020年3月26日に行われた参議院外交防衛委員会で、新型コロナウイルス関連で使われている専門用語が正しく伝わるように分かりやすい日本語へ変更するように申し入れたようです。
クラスターなど新型コロナウイルス関連専門用語の意味6選

ここまで新型コロナウイルス関連で使われている専門用語の現状を説明しました。この章では、新型コロナウイルスにおける専門用語の正しい意味を解説していきます。
政府など公的機関の発表を正しく把握する上で重要な内容になるので、ぜひ参考にしてください。
COVID-19
COVID-19とは、「CoronaVirus Disease 2019」を略した専門用語のことで、新型コロナウイルス感染症を指します。
日本産婦人科感染症学会が発表する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について」によれば、COVID-19という名称は2020年2月11日に世界保健機関(WHO)によって正式に決定されたようです。
ちなみに新型コロナウイルスには、 SARS-CoV-2という名称が使われています。
クラスター
新型コロナウイルス関連で使われているクラスターとは、新型コロナウイルス感染者の集団や集団感染を意味しています。
本来のクラスター(Cluster)の意味は、「群れ、集団、塊」であり、英語圏などではITや天文学などさまざまな分野で使われています。
感染者集団を疫学においてはDisease clusterと呼んでおり、単にクラスターと言っただけでは外国人に伝わらないおそれがあるので、注意しましょう。
厚生労働省が発表する「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」によれば、クラスターは後述する3つの密を満たす場所で多く確認されている傾向があるようです。
オーバーシュート
新型コロナウイルスにおけるオーバーシュートとは、爆発的に感染者が増えることを意味します。
本来は金融・証券用語であり、野村證券の「証券用語解説集」によれば「相場や有価証券の価格の行き過ぎた変動のこと。」という意味になります。
また英語圏におけるオーバーシュート(Overshoot)は、「通り越す、行き過ぎる、外す」という意味であり、さまざまなシチュエーションで使われているため、オーバーシュートと外国人に言っても通じない可能性が非常に高いです。
ソーシャル・ディスタンス
ソーシャル・ディスタンスとは、人と人との距離を物理的に空けることで新型コロナウイルスを含むウイルスの感染を防ぐための手段のことで、日本語に訳すと社会距離拡大戦略という意味になります。
英語圏でもソーシャル・ディスタンシング(Social distancing)として使われていましたが、社会的な距離を空けるという意味に捉えかねられないことからWHO(世界保健機関)が「物理的な(physical)距離をとる」という意味でフィジカル・ディスタンス(Physical distancing)という言葉を推奨するようになりました。
3つの密
3つの密とは、厚生労働省が発表する「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」でも語られているとおり、日本政府が推奨している集団感染が発生しやすい以下3つの条件をまとめた呼称です。
- 換気が悪い空間(密閉空間)
- 人が密集している(密集場所)
- 近距離で会話や発声が行われる(密接場所)
これらの条件を満たす場所は新型コロナウイルスの集団感染が発生しやすいとされており、回避するように推奨されています。
しかし1つの条件に当てはまるだけでも新型コロナウイルスの感染リスクはあるとされており、首相官邸が発表する「3つの密を避けるための手引き!」によれば、上記の条件のいずれかに当てはまる場所には行かないゼロ密が求められています。
ロックダウン
新型コロナウイルスの場合、ロックダウンは都市封鎖を意味しており、こちらの言葉は英語圏でも使われています。
ただし、法律の違いによって海外で行われているような大規模なロックダウンを日本では行えないのが現状です。
具体的には新型インフルエンザ等対策特別措置法にもとづく緊急事態宣言によって日本政府が国民に外出自粛などの協力を依頼する形で要請・指示することはできますが、現時点の法律では国民の行動を強制することは難しく、違反したことに対する罰則を基本的に設けられません。
ただし、今月になって新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために感染症法が以下のように改正されました。
【感染症法第三十三条】
都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。
したがって日本においては以下2つの制限を設けることができるようになっています。
現時点ではまだ行われていませんが、違反した場合は50万円以下の罰金を支払わなくてはなりません。
- 集団感染が確認された施設の封鎖や立入禁止
- その周辺の交通規制(72時間が上限)
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まとめ
今回はクラスターなど新型コロナウイルスに関する専門用語の現状やその正しい意味を解説しました。最後にもう一度おさらいすると、本記事の重要なポイントには次の3点があげられます。
- 新型コロナウイルスの専門用語が正しく認知されていないおそれがある
- 外国人には伝わりづらい新型コロナウイルスに関する専門用語もある
- 日本における大規模なロックダウンは、現時点ではできない
この記事を参考にして、公的機関の新型コロナウイルスに関する発表を正しく把握しましょう。