
混同されやすいコンティンジェンシープランとBCPの違い
目次[非表示]
※2021年6月29日更新
近年ますます複雑化していくリスクに対して企業は対策に講じなければなりません。
BCPやリスクマネジメントなど事業を守るための方法は多種多様ですが、コンティンジェンシープランの策定もその1つです。
しかし、このコンティンジェンシープランとBCPの共通点は非常に多いため、具体的にどう違うのか分からないという方も少なからずいるでしょう。
今回はそんな方のためにコンティンジェンシープランの予備知識やBCPとの違い、策定方法などを紹介していきます。
この記事を読むことでコンティンジェンシープランの基本が明確に分かるので、ぜひ参考にしてください。
コンティンジェンシープランを策定する意義

コンティンジェンシープラン(Contingency Plan:緊急時対応計画)とは、災害や事故など企業を取り巻くあらゆるリスクの被害を最小限に抑えるために、事前にリスク発生時の対応を定めた計画のことです。
災害だけでなく、ITセキュリティやサプライチェーンなど企業を取り巻くリスクは年々、複雑化しており、リスク発生時に混乱によって対応を誤ってしまうと被害の拡大で復旧活動が長期化するなど企業に深刻な被害をもたらしてしまうおそれがあります。
こうした事態を防ぐためにあらかじめコンティンジェンシープランを策定しておくことが重要であり、十分に社員に対応を浸透させておけばリスク発生時に効率的に的確な対応を開始できることで企業への被害を最小限に抑えられます。
混同しやすいBCPとの違い

コンティンジェンシープランとBCP(事業継続計画)は、どちらも事業のリスクを特定して対策をとるという共通点があるため、混同している方も少なくありません。
両者の違いを簡単に説明すると、コンティンジェンシープランは災害などのトラブルが発生した場合の対応を決めますが、BCPの場合は緊急時の対応だけでなく事業の継続または早期復旧を図ります。
またBCPでは、ビジネスインパクト分析(BIA)で災害などのリスクによって業務が停止した場合に受ける影響を分析した上で優先して継続・復旧する業務を決めていきますが、コンティンジェンシープランではビジネスインパクト分析を行わずに優先する業務を決定するのです。
つまりBCPは、事業の継続・早期復旧により焦点を絞った計画であると言えます。
災害発生時に事業の継続や早期復旧を図ることを目的としている場合、コンティンジェンシープランでは十分でないと言えるため、どちらを導入するべきなのかをよく考えましょう。
より詳しくBCPとビジネスインパクト分析を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
コンティンジェンシープランを策定する3つの手順

次にコンティンジェンシープランを作成する3つのステップを説明していきます。
コンティンジェンシープランの策定方法がよく分からず困っているという方は、ぜひ読み進めてください。
企業を取り巻くリスクを洗い出す
災害や事故など、まずは事業の想定されるありとあらゆるリスクを洗い出していきましょう。
1人の担当者にリスクの洗い出しを任せると想定されるリスクが偏ってしまうことでリスクの漏れが発生し、対応できなくなるため、各部署から集めた複数人の担当者で意見交換を交えながらリスクの洗い出しを進めていくことが大切です。
また、各担当者間で想定されるリスクの度合いにばらつきが生じると混乱を招くため、どのような事象をリスクだと捉えるのか、リスクの共通認識を複数の担当者に持たせるようにしましょう。
リスク発生時の対応を定める
次に業務と経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を整理し、災害などのリスク発生時に優先する重要な業務を決めた上で、リスク発生時の対応を定めていきましょう。
具体的には想定されるリスクの具体的なシナリオを用意し、従業員の緊急時の体制と役割、経営資源が確保できなくなった場合の代替手段や行うべき対応の手順などを記載します。
また災害などのリスク発生時は何が起こるのか分からず、状況によっては緊急時の体制で定めたメンバーが不在であったり、被災によって対応できなかったりする事態も想定されるため、事前に複数人の代行者を決めておくことが大切です。
定期的に改善していく
リスクは事業を取り巻く状況に合わせて変化していくという特性を持つため、コンティンジェンシープランは一度作成したら、それで終わりではありません。
事業の状況に変化があった場合は、定期的に見直し・改善をしていくことが重要であり、コンティンジェンシープランの中で定めた対応の訓練や教育を定期的に行い、きちんと機能しているのかを確認しましょう。
訓練などを進めていく中で対応に不備があれば、その度に対応の改善を行い、より実用的なコンティンジェンシープランに近づけていきます。
自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
まとめ
今回はコンティンジェンシープランの基本やBCPとの違いなどを説明しました。最後にもう一度おさらいすると、本記事の重要なポイントには以下の2点があげられます。
- コンティンジェンシープランとは、災害などのリスク発生時の対応を事前に定めた計画のこと
- コンティンジェンシープランは災害発生時の対応を定めているが、BCPはより事業の継続・早期復旧に焦点を絞っている
この記事を参考にコンティンジェンシープランを策定して災害などのトラブルに備えましょう。