
BCP訓練を効果的に行う方法と覚えておきたい基礎知識
目次[非表示]
- 1.BCPの訓練の目的
- 2.BCP訓練の5つの種類
- 2.1.机上訓練
- 2.2.電話連絡網・緊急時通報診断
- 2.3.代替施設への移動訓練
- 2.4.バックアップしているデータ・システムを復旧させる訓練
- 2.5.総合訓練
- 3.BCPの訓練の手順
- 4.BCPの訓練の事例
- 5.自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT
- 6.最後に
- 7.関連お役立ち資料集
策定したBCP(事業継続計画)を最大限効果的に活用するためには、日頃からの訓練・演習による内容のブラッシュアップが必要不可欠です。
しかし、どのようにBCPの訓練を行えばいいのか悩んでいるという方も少なからずいるでしょう。
今回はそんな方のためにBCP訓練の基本やその種類、手順などを解説していきます。
この記事を読むことで、どのようにBCPの訓練を行えば効果的なのかが把握できるので、ぜひ参考にしてください。
BCPの訓練の目的

BCPの訓練の目的として、中小企業庁は大きく以下の4つを挙げています。
①策定したBCPの実効性を評価すること
②各従業員のBCPに対する理解を深め、その活動に対して積極的に取り組むとともに、緊急事態発生時での各自の役割を明確に認識させること
③訓練によって計画を実際に行ってみることにより、BCPの不備や欠陥等の改正すべき点を明らかにして、それらを改定すること
④従業員間での連携・協力を促すこと
訓練をはじめて行う場合、このような目的を運営・参加者の両方が念頭に置いて進めていくだけで、訓練自体の質は大きく高まるはずです。
BCP訓練の5つの種類

BCPの訓練といっても、そのやり方は多種多様です。ここでは代表的な5つの方法を紹介させていただきます。
机上訓練
策定したBCPをもとに災害などのトラブルを踏まえたシナリオを作成し、文字通り机上で確認する訓練です。
参加者にそれぞれ役割を与え、訓練終了後は議論形式で改善点を洗い出していきます。
電話連絡網・緊急時通報診断
災害などのトラブル発生後、迅速に従業員の安否確認が行えるのかをシュミレートする訓練です。
安否確認には復旧作業のための人材確保という側面もあります。
災害発生時は必ずしも全員と連絡が取れるとは限りませんが、訓練の時点では確実に連絡が取れるかどうかを確認しておきましょう。
たとえば、メールアドレスの変更を報告し忘れていたといったことが起こり得ますが、それを訓練で把握できていないと災害発生時に安否確認をとる手段がほぼなくなってしまいます。
[sc_blogcard url="https://fastalert.jp/resources/earthquake-bcp"]
代替施設への移動訓練
代替の事業所などを準備している場合、復旧にあたる人材を移動させた上で、その場所で実際に事業を復旧できるかどうかをチェックする訓練です。
万が一の際に復旧できない事態にならないよう、必ず行っておきましょう。
バックアップしているデータ・システムを復旧させる訓練
災害による故障やシステム障害などを想定して、バックアップしているデータの入手やシステムの起動を行う訓練です。
BCPのほかにシステムの復旧を行う仕組み(DR)を明確に定めておくと、トラブル発生時でも迅速に対処できるでしょう。
DRについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
総合訓練
BCPで定めた全ての対応を通しで行う訓練です。
BCPの内容を最初から最後まで確認するため、時間はかかりますが、従業員にBCPを浸透させるという意味で行なっておくと良いでしょう。
BCPの訓練の手順

ここでは最も実践しやすいBCPの訓練である「机上訓練」の手順を具体的に説明していきます。
どれも参考になる情報なので、ぜひ参考にしてください。
計画/準備
トラブル発生時における取引先への連絡など訓練のテーマや想定する災害・被害状況のシナリオを決めましょう。
シナリオは「震度6度強の地震が発生し、事業所が停電」というようになるべく具体的に作成しておくことで、訓練を効果的に行えます。
また訓練の参加者が適切に対応できるように状況付与票を作成しておくと良いでしょう。
状況付与票には、シナリオをもとにして簡潔に災害によってどういったトラブルが起きたのか、それに対してどのような対応すればいいのかを記載しておきます。
実施
準備が整ったらオリエンテーションを行なって、訓練の目的や検証するテーマを参加者に伝えましょう。
状況付与票を配り終えたらシナリオに沿って訓練を開始します。
また訓練中の参加者の対応や質問を記録しておくことで、訓練を分析する際に役立つはずです。
評価
訓練終了後はそのまま終わりにするのではなく、必ず訓練全体を振り返って議論を行いましょう。
BCPの改善点や不明点などを洗い出すことで、より効果的なBCPを策定できるはずです。
客観的且つ専門的な意見を得るために外部から専門家を招くのも良い手段でしょう。
BCPの訓練の事例
BCPの対策はICT(情報通信技術)面でも効果的です。
事業に関わる大多数の従業員がこのような情報システムを活用しているからこそ、全員が非常時における対応を理解する必要があります。
下記一覧表は、実際にBCPの妥当性確認のために企業が行ったウォークスルー訓練の概要です。
先ほど説明したように、まずは事前に策定した行動計画をもとに読み合わせを行い、課題点や改善点の洗い出しを行います。

訓練では策定済みのICT-BCP(ICT部門のBCP)や行動手順を参考に読み合わせを行い、参加者は実際に自らが被災した場合を想定して手順の確認を行うのですが、その際、この事例のようにファシリテーターを置くことでより実践的な訓練になります。
ファシリテーターは直接議論には参加せず、各役割の行動手順の実行可能性について、訓練参加者に質問し行動手順の改善点をチェックします。
また、刻々と変わる被害状況を参加者に報告し意識させるという役割も担っているのです。

自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT

災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
今回はBCP訓練の予備知識とその種類や具体的な手順などを紹介しました。この記事の大切なポイントには、以下の2点があげられます。
- 運営・参加者の両方が訓練の目的を意識する
- 机上訓練には計画/準備・実施・評価の3段階がある
- 訓練中に気づいた課題を提起することがBCPを改善していく上で大切
この記事を参考にして効果的にBCPの訓練を行いましょう。