
企業におけるBCP対策と的確な事業継続を実現する主な対応
目次[非表示]
- 1.BCP対策とは
- 1.1.BCP対策と防災対策の違い
- 2.BCP対策で対象とするリスク
- 3.的確なBCP対策を実施していない場合の悪影響
- 4.企業における主なBCP対策
- 4.1.オフィスに安全対策を施す
- 4.2.防災グッズを備蓄する
- 4.3.クラウドにデータを保存する
- 4.4.オフィス機能や拠点を分散させる
- 5.リスク情報を早期把握できるFASTALERT
- 6.最後に
- 7.関連お役立ち資料集
BCP(事業継続計画)の中で事業継続を図るために定めるBCP対策ですが、これから初めてBCPを策定するという企業の防災担当者は特にどのようなBCP対策を定めれば良いのかわからずに困っているのではないでしょうか。
そこで本記事ではBCP対策の概要や効果的なBCP対策を定められなかった場合の悪影響、主なBCP対策などを説明していきます。
この記事を読むことで効果的なBCP対策を導入する上での参考になるので、企業の防災担当者はぜひ最後まで読み進めてください。
BCP対策とは
BCP(Business continuity plan:事業継続計画)とは、自然災害や事故など企業におけるリスク発生時にその被害を最小限に抑えて、事業の継続または早期復旧を図るための計画のことです。
つまり、BCP対策とはBCPで定める事業継続を図るための対策のことであり、防災グッズの備蓄や安全対策など幅広い種類があげられます。
リスクの発生によって事業継続または早期復旧をすみやかに実現できなければ、顧客離れや企業のイメージダウンなどの悪影響が生じてしまう可能性が高いため、事業を守るためにはBCP対策の実施が欠かせません。
詳しくBCPを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
BCP対策と防災対策の違い
最近、防災担当も兼任することになったという方は特にですが、中にはBCP対策と防災対策を混同している方もいるでしょう。
BCP対策があくまでも事業継続を図るための取り組みであるのに対して、防災対策は人命やオフィスなどを守ることを主眼に置かれた対応です。
もちろんBCP対策では初動対応で人命救助などを優先しますが、その後は事業継続を図るための対応を進めていくのが特徴であり、オフィス機能の分散やサプライチェーンの途絶を防ぐ対応など防災対策よりもさらに幅広い対策が行われます。
BCP対策で対象とするリスク
事業継続を図るための効果的なBCP対策を考える上では、対象とするリスクを十分に把握しておかなければなりません。
BCP対策で対象とする主なリスクは、以下のとおりです。
【災害】
自然災害や人為災害、特殊災害(CBRNE災害)
【経営リスク】
戦略ミスによる業績悪化、人材の流出、強力な競合企業の参入など
【労務リスク】
違法な長時間労働やハラスメント、社員による情報漏洩など
【法務リスク】
優越的地位の乱用、知的財産権の侵害、景品表示法違反など
【財務リスク】
資金繰りの悪化、金利・為替変動、取引先の倒産に伴う貸倒れなど
想定するリスクは多岐にわたりますが、優先的に対処するべきリスクは企業の規模や業種によって異なるため、後述するリスクマネジメントでどのリスクを重点的に対策するのかを考えておきましょう。
詳しく自然災害・人為災害・特殊災害を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
的確なBCP対策を実施していない場合の悪影響
リスクを特定しきれていないなどの理由によって的確なBCP対策を実施できないまま、企業におけるリスクが発生すると、主に以下の悪影響によって深刻な事態に陥ってしまうおそれがあります。
- 後手後手の対応になることで、被害が拡大してしまう
- 深刻な被害を受けることで迅速な事業継続が図れない
- すみやかな事業継続を実現できないことで顧客離れや売上減少につながる
- 復旧に時間がかかるばかりか、復旧コストが嵩んでしまう など
災害はいつどこで発生するのか分からず、十分に対策していても想定外の事態によって陥る場合もありますが、それでも事業への被害を最小限におさえ、迅速な事業継続を実現するために可能な限りのBCP対策を実施しておくことが重要です。
企業における主なBCP対策
では企業は事業を守るためにどのようなBCP対策を実施すれば良いのでしょうか。
すでにBCPを策定していることが前提となりますが、この章では企業における主なBCP対策を説明していくので、ぜひ参考にしてください。
オフィスに安全対策を施す
社員の負傷などの二次被害を防ぐためにオフィスに安全対策を施しておきましょう。
地震からオフィスを守るための耐震補強や水害による被害を可能な限り回避するための浸水対策グッズなど様々な種類があげられますが、オフィスで簡単に行える安全対策は以下のとおりです。
【キャビネットなどのオフィス家具を固定する】
キャビネットなどはなるべく壁につけてL字金具や突っ張り棒で固定し、重心を下げるために重量のある物はキャビネットのなるべく下にしまうようにする
【コピー機やPCなどのOA機器を固定する】
転倒や落下による負傷を防ぐためにコピー機やPCなどもジェルマットやストッパー、ワイヤーで固定しておく
【飛散防止シートを貼っておく】
ガラス片による負傷を防ぐために窓ガラスやガラス製のドアには、あらかじめ飛散防止シートを貼っておく
耐震補強や水害対策を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
軽視してはいけない!地震による被害を防ぐために大切な耐震補強と重要視される理由
防災グッズを備蓄する
経営資源である社員が安全に避難生活を送れるように防災グッズを備蓄しておきましょう。
一般的に電気・ガス・水道などのライフラインや人命救助が落ち着くまでに3日程度かかると言われていますが、大規模な災害によって避難生活が長引く場合も想定して、3日分を必要最低限とし、余裕をもって1週間分の防災グッズを用意しておくと安心です。
企業の場合は東日本大震災で約515万人の帰宅困難者が発生したことを機に以下の東京都帰宅困難者対策条例第17号などによって、防災グッズの備蓄が求められているため、可能な限りの防災グッズを確保しておくと良いでしょう。
【東京都帰宅困難者対策条例第17号】
事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します
詳しく備蓄するべき防災グッズの種類や量を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
クラウドにデータを保存する
リスク発生時に重要なデータが消失してしまう事態を防ぐために、顧客情報など事業継続を行う上で必要不可欠なデータは、外部のクラウドサービスに保管しておきましょう。
クラウドサービスのデータセンターは、強固な地震対策など徹底した防災対策が実施されていることが多いため、自社でデータを保管するよりも安全な傾向にありますし、外部のクラウドサービスにデータを保管しておけばオフィスで業務を再開できない状態であったとしてもテレワークで事業継続を図ることができます。
詳しくBCP対策としてのクラウドサービスの基礎知識を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
オフィス機能や拠点を分散させる
オフィスや工場が地震・水害などによる被害を受けた場合は、オフィスで業務を再開できずに事業継続が迅速に図れなくなってしまうおそれがあります。
こうした事態を防ぐためにオフィス機能や拠点の分散を行うために平時から以下の対応を行なっておくと良いでしょう。
- 想定する災害リスクが発生確率が低い安全な地域にバックアップオフィスを用意する
- セキュリティ対策など十分に環境を整えた上でテレワークを実施しておく
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。
最後に
リスク発生時に事業継続を図る上で決して欠かすことのできないBCPとBCP対策ですが、適切なBCP対策を実施していなければその効果は半減してしまいますし、場合によっては迅速な事業継続を図れない事態に陥るおそれがあります。
この記事を参考にして事業を守るためのBCP対策を見直して、より効果的な内容へ近づけていくと良いでしょう。