
大規模な火災に伴う火災旋風の脅威と企業に主なおける対策
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地震などによる大規模な火災に伴って、発生するおそれがある火災旋風ですが、どのように対策するべきか悩んでいる企業の担当者も中にはいるでしょう。
そこで本記事では火災旋風の概要と火災旋風の事例、企業における主な対策などを説明していきます。
この記事を読むことで火災旋風の理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。
大規模な火災に伴って発生する火災旋風
火災旋風とは、大規模な火災発生時に起きる炎を伴ったつむじ風のことであり、場合によっては温度1000度、風速100mにも達し、移動しながら周囲に被害を与えていくのが特徴です。
人や周囲の建物を吹き飛ばすだけでなく、火の粉が遠方まで飛んでいくため、広範囲にわたって延焼が起きるおそれがあり、首都直下地震でも火災旋風の発生が危惧されています。
火災旋風が発生するメカニズムは明らかになっていませんが、東京消防庁の「火事場の旋風」によれば、現時点では以下の3つが発生の原因として考えられています。
- 火災で発生した大量の熱気が上昇し、冷気と混じり合う
- 風の走りを滑らかにする水面や広場がある
- 10メートル未満の適当な風速がある
約38,000人の犠牲者を出した火災旋風による被害
火災旋風は大規模な火災発生時に必ずしも起きるとは限りませんが、ひとたび発生すると周囲に壊滅的な被害を与えてしまいます。
これまで火災旋風は世界中で確認されていますが、特に大きい被害を受けた事例としては東京都と神奈川県を中心に壊滅的な被害を受けた1923年の関東大震災があげられます。
関東大震災ではマグニチュード7.9の巨大地震によって、建物の倒壊や液状化、火災などの被害を受けました。
これを受けて、旧陸軍被服廠跡(現・都立横綱町公園)に約38,000人が避難しましたが、台風の接近で関東全域に強風が吹いていたことで地震から数時間後に火災旋風が発生し、犠牲になってしまったのです。
旧陸軍被服廠跡の鎮火までには2日ほどを要し、この他にも関東では台風の影響で約140件の火災旋風が確認されました。
企業における主な火災旋風対策
火災旋風が発生した場合、周囲に深刻な被害を与えてしまうおそれがありますが、そうした事態に備えて企業はどのような対策を導入しておけば良いのか悩んでいる方もいるでしょう。
この章では企業における主な火災旋風対策を説明していくので、ぜひ参考にしてください。
BCP・防災マニュアルを策定しておく
火災旋風などの災害に備えて、あらかじめBCP・防災マニュアルを策定しておきましょう。
BCPとは、災害や事故などリスク発生時に被害を最小限に抑え、事業の継続または早期復旧を図るための計画のことです。
BCPや防災マニュアルには、リスク発生時の対応をあらかじめ定めておきますが、そのいずれも策定していない状態で被災した場合は混乱によって的確な対応ができずに被害が拡大してしまうおそれがあります。
迅速に初期消火を行う
オフィスで火災が発生した場合は被害の拡大と火災旋風への発展を防ぐために、迅速に初期消火を行いましょう。
消防署に連絡しても到着するまでにタイムラグがあるため、それまでは可能な限り自分たちの力で初期消火に努めなければなりませんが、無理は禁物であり、天井にまで火が達している場合はすみやかに避難する必要があります。
詳しく初期消火の手順を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最初の3分が最重要な初期消火とスムーズに初期消火を行うための鉄則
避難の前にブレーカーを落とす
地震によってオフィスから別の安全な場所へ避難を余儀なくされた場合は、通電火災の発生を防ぐために必ず避難の前にブレーカーを落としましょう。
通電火災とは、地震などによる停電から電気が復旧した際に発生する火災のことであり、転倒した暖房器具や損傷したコードなどが可燃物に触れていたことなどが原因となって発生します。
避難中で周囲に誰もいない状況で発生する傾向があり、火災の発見が遅れることで大規模な火災へ発展しやすいため、地震の揺れを感知した際に自動的に電気の供給を止める感電ブレーカーを導入するか、ブレーカーを落とすことが大切です。
リスク情報を早期把握できるFASTALERT
災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。
しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。
この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。
FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。
弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。
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最後に
火災旋風のメカニズムは明らかになっていないものの、特定の要因によって発生すると現時点では考えられていますが、もし起きた場合は延焼など被害がさらに深刻になるおそれがあり、首都直下地震でも火災旋風が危惧されています。
この記事を参考にして、火災旋風への発展を防ぐために平時から可能な限り火災対策を導入しておきましょう。