知って得するリスクマネジメントの必要性と効果的な進め方

企業には様々なリスクが取り巻いており、事業を守るためにはあらかじめ対策を立てておくリスクマネジメントが必要不可欠です。

しかし、このリスクマネジメントがよく分からず、どのように進めれば困っている方も少なからずいるでしょう。

今回はそんな方のためにリスクマネジメントの予備知識と具体的な進め方などを紹介していきます。

この記事を読むことで効果的なリスクマネジメントの方法が明確に分かるので、ぜひ参考にしてください。

※本記事で使用している写真は一部を除き、Adobe Stockで取得しています。

おさえておきたいリスクマネジメントの基本

あまりリスクマネジメントがよく分からないという方のために、まずはリスクマネジメントの予備知識を紹介していきます。

どれも参考になる情報ばかりなので、ぜひ読み進めてください。

リスクマネジメントとは?

近年では業務のアウトソーシング化が進んでいるため、リスクマネジメントの重要性がますます増しています。

リスクマネジメント(Risk management:リスク管理)とは、事業などに損失を与えるリスクを把握し、あらかじめその影響を回避、または最小限に抑えるためのプロセスのことです。

想定されるリスクにはシステム障害や操作ミスなど様々なものがありますが、2018年に改正されたリスクマネジメントの国際規格であるISO31000:2018のリスクマネジメント方針では、リスクを「目的に対する不確かさの影響」と定義されています。

もしリスクマネジメントを的確に行えなかった場合は、発生し得るリスクを想定できないことでリスク発生時に十分に対応できずに事業へ深刻な被害を及ぼしてしまうおそれがあります。

そのため、事業継続や社員の安全を確保するためには、リスクマネジメントの実施を決して欠かすことはできません。

危機管理との違い

危機管理(Crisis management:クライシスマネジメント)とは、従業員の不祥事や事故、風評被害など企業におけるリスクが発生した場合に行う対応のことです。

リスクマネジメントと危機管理を混同している方も少なくありませんが、リスクマネジメントと危機管理はタイミングが異なります。

リスクマネジメントは想定されるリスクを回避または最小限に抑えるためにリスクを防止することですが、危機管理はすでに発生した危機による被害を最小限に抑え、事業の早期復旧を図ることです。

危機管理もリスクマネジメントと同じく想定される危機を洗い出しますが、危機が発生した場合にどのように対応するのかなどを決めるのが中心となります。

詳しく危機管理を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

リスクの悪影響を防ぐために!被害を防ぐ上では危機管理が必要不可欠な理由

リスクアセスメントとの違い

リスクマネジメントと間違えられやすい言葉にリスクアセスメントがあります。

リスクマネジメントの手順は以下の4つに分類されますが、リスクアセスメントのプロセスはリスクの分析・評価までです。

リスクマネジメントの中にリスクアセスメントが含まれていると考えると良いでしょう。

  1. リスクを特定する
  2. リスクの分析・評価
  3. リスク対応を行う
  4. 定期的に改善していく

またリスクアセスメントは労働者の安全を守るために労働安全衛生法第28条の2で以下のように努力義務が課せられています。

『事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、または作業行動その他業務に起因する危険性または有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律またはこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険または健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。』

「講ずるように努めなければならない」と書かれているとおり、この法令を破ったからといって特に罰則はありません。

しかし、リスクに対して何も対策していないと労働災害などが発生してしまうおそれがあるため、きちんとリスクアセスメントを行っておきましょう。

純粋リスクと投機的リスク

リスクマネジメントでリスクを特定する際は、想定されるリスクを洗い出した上で純粋リスクと投機的リスクの2種類に分類していきます。

純粋リスクとは企業に損失のみを与えるリスクのことで、投機的リスクは損失または利益をもたらすリスクのことです。

純粋リスクと投機的リスクに分類される事象は、それぞれ以下のとおりになります。

【純粋リスク(静態的リスク)】
火災、台風などの自然災害、事故など
【投機的リスク(ビジネスリスク)】
投資、金利変動、新サービスの提供など

前述したリスクマネジメントの国際規格であるISO31000:2018で「目的に対する不確かさの影響」と定義されているとおり、リスクは目的に影響をもたらす全ての事象であると言えるので、企業に損失を与える純粋リスクだけでなく企業に利益をもたらす可能性のある投機的リスクも存在するのです。

企業を取り巻くリスクは年々複雑化しているため、企業や目的に悪影響を及ぼす事象のみをリスクだと考えてしまうとリスクマネジメント自体が正確なものではなくなってしまいます。

洗い出したリスクを純粋リスクと投機的リスクのどちらに分類されるのかを把握しておけば、リスクに対してどのような対策が適切なのかを判断することができるはずです。

企業における主なリスクの種類

リスクマネジメントを行う上ではリスクの洗い出しが欠かせませんが、そのためにはまず企業に取り巻く主なリスクを把握しておく必要があります。

主な企業におけるリスクは、以下のとおりです。

【経営リスク】
経営判断ミスによる業績の悪化、事業の難航、強力な競合企業の参入など

【災害リスク】
台風や地震などの自然災害、火災や労働災害などの人為災害、機器の操作ミスなど

【労務リスク】
長時間労働や残業代の未払い、セクハラやパワハラ等のハラスメントなど

【法務リスク】
知的財産権の侵害、安全配慮義務違反に伴う損害賠償金の支払い、製造物責任など

【財務リスク】
金利・為替変動、取引先の倒産に伴う貸し倒れなど

リスクマネジメントの4つの手順

次にここではリスクマネジメントの具体的なプロセスを解説していきます。リスクマネジメントの方法がよく分からないという方は、ぜひ参考にしてください。

リスクの洗い出し

リスクマネジメントの第1ステップは、企業に取り巻くリスクの洗い出しです。

リスクを洗い出す段階では、どのようなリスクが発生し得るのかは考えずに発生するおそれがあまりないリスクなども含めて可能な限り多くのリスクを網羅的にリストアップしていきます。

また、リスクの洗い出しを1人だけで行うと想定するリスクが偏ってしまうことで的確なリスクマネジメントにならないおそれがあるため、必ず各部署から複数の担当者を集めた上で意見交換などをしながら作業を進めましょう。

リスクの分析・評価

次に洗い出したリスクの優先順位をつけるためにリスクの分析を行います。リスクを分析すれば迅速に対処するべきリスクを把握することができるはずです。

リスクの分析を行うために縦軸に影響度、横軸にリスク発生確率を書いた表(リスクマトリックス)を作成し、リスクの等級を決めていきます。

この作業が終わったら、以下の計算式を使ってリスク・レベルを計算していきます。

『リスク・レベル=リスク発生確率 × 影響度』

分析で導き出したリスク・レベルをもとに、リスクの評価を行なって、対処するリスクの優先順位をつけていきましょう。

リスク対応を行う

リスクの分析・評価が終わったら、それぞれのリスクに対して適切なリスク対応を決めていきましょう。

リスク対応は、リスクコントロールとリスクファイナンシングの2種類があり、対応はさらに細かく分類されています。

【リスクコントロール】
◆回避
事業撤退などリスクを生じる活動を中止する
◆損失防止
損失を防止または発生頻度を減らすために対策をする
◆損失削減
損失による被害を抑えるための対策をする
◆分離・分散
リスク源を集中させずに、複数箇所に分散させる

【リスクファイナンシング】
◆移転
保険などにより、第三者から損失補填を受ける
◆保有
リスクに対して対策を立てず資金の積立などを行い、損失を自己負担する

PDCAサイクルで見直していく

上記の作業が済んだら、それで終わりではありません。リスクマネジメントはPDCAサイクルで定期的に見直し・改善を行うことが重要です。

リスクは事業や環境の変化などにあわせて変化するという特性を持つため、リスクマネジメントは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の順で見直さなければなりません。

もしリスクマネジメントで一度決めた対策をそのまま使い回していると事業の拡大やサービスの変更などがあった際に機能しないおそれがあるため、必ず定期的な見直しを欠かさずに行いましょう。

自然災害などリスク情報の収集やBCPで活躍するFASTALERT

Twitterをはじめとした様々な場所から“報道前”のリスク情報を検知・分析し、サービス利用者に提供しています。

災害発生時は、意思決定に基づいた初動対応をすみやかに開始するために、被害状況などの情報収集を行わなければなりません。

しかし、災害発生時はリソースが限られた状況の中で情報を精査しなければならず、場合によっては対応しきれないおそれがあり、これによって的確な対応ができない可能性があります。

この状況を解決するために自治体や企業では、AI情報収集サービス「FASTALERT」が活用されています。

FASTALERTは、自然災害・事故・事件など自治体や企業におけるリスクが発生した場合にAIが正誤を分析した上でほぼリアルタイムでサービス利用者に提供する仕組みです。

弊社ではFASTALERTの紹介資料やSNSで炎上が起きる理由など、企業や自治体の防災担当者が抱えるお悩みを解決するために防災に関する資料を幅広く用意しています。

詳しくご覧になりたい方は、「防災お役立ち資料」から資料をお気軽にダウンロードしてください。

最後に

事業継続を図ったり、社員の安全を確保したりするためにはリスクマネジメントの実施が必要不可欠です。

リスクリスクマネジメントを的確に実施できなければ、場合によっては本来は優先して対処しておくべきであったリスクを想定できずに深刻な被害を事業に受けてしまうおそれがあります。

この記事を参考にして、事業を守るためにリスクマネジメントを的確に進めていきましょう。

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