コロナ禍で集団感染リスクを防ぐ分散避難に企業が対応するための4つのポイント

コロナ禍の現在では避難所などで分散避難が推奨されています。しかし災害発生時に帰宅困難者になった従業員の一時的な帰宅の抑制が求められていた企業の場合はどのように対応するべきなのでしょうか。

この記事ではコロナ禍における分散避難の概要と新型コロナウイルス発生以前に定められた帰宅困難者の対応、企業が分散避難を行う上での対応などを説明していきます。この記事を読むことで企業で分散避難に取り組む上でのポイントが分かるので、ぜひ企業担当者の方は読み進めてください。

コロナ禍で求められている「分散避難」

新型コロナウイルスが蔓延する現在は、自然災害が発生した場合にその被害だけでなく避難先で集団感染が起きるなどの複合災害へ繋がるおそれがあるのです。避難所では新型コロナウイルスの集団感染が発生しやすいことから日本政府が回避を求めている以下の3つの密を満たしやすい傾向があり、早急な対応を求められています。

例えば避難所では避難者のソーシャルディスタンス(身体的距離)を十分に確保することを目的として収容人数を減らすために分散避難が推奨されているのが現状です。

分散避難とは自宅や知人宅、ホテル・旅館などさまさまな場所へ避難することであり、集団感染を防ぐためには企業もこの対応をよく把握しておく必要があります。

新型コロナウイルス発生以前に定められた東京都帰宅困難者対策条例

2011年の東日本大震災で約515万人の帰宅困難者が発生し、幹線道路が無理に帰宅しようとする人々で溢れかえり、様々なトラブルを招きました。

例えば災害発生時に帰宅困難者となった人々は家族の安否確認や自宅の被災状況などで帰宅しようとしますが、災害による二次被害や群衆雪崩によって負傷したり、緊急車両がスムーズに走行できず人命救助の妨げになったりするなどの問題へ繋がるおそれがあるのです。

人命救助では被災後の3日間である72時間の壁が重視されており、国土交通省近畿地方整備局の阪神・淡路大震災の死因や生存率を調査した「死者を減らすために」によれば3日間をすぎると負傷者を安全に救出できる確率が著しく下がることから72時間以内の救助が目指されています。

災害の規模にもよりますが、被災後の3日間に帰宅困難者が無理に帰宅しようとすると被害者にも加害者にもなる可能性があるため、これを受けて日本政府は以下の東京都帰宅困難者対策条例などで企業に対して帰宅困難者になった従業員の一時的な帰宅の抑制と防災グッズの確保が求めています。

【東京都帰宅困難者対策条例条例17号】
事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します

しかしコロナ禍の現在では前述した分散避難が推奨されており、帰宅困難者となった全従業員をオフィスに避難させるときちんとソーシャルディスタンスを確保できなければ、オフィスで新型コロナウイルスの集団感染が発生するリスクがあります。そのため、今の状況下では必ずしも帰宅困難者全員の帰宅の抑制が最善の対応とは言えない状況にあるのです。

企業における分散避難を実現するための4つのポイント

では、企業で集団感染リスクを軽減する分散避難を行う上ではどのような対応をすれば良いのでしょうか。この章では企業で分散避難を行うためのポイントを説明していきます。

オフィス付近にある安全な避難場所を確認しておく

オフィス付近にある避難場所をハザードマップなどでよく確認しておきましょう。ハザードマップとは、あらかじめ自然災害の範囲や状況を予見し、安全な避難場所・避難経路を記載した地図のことです。

国土地理院や自治体のHPで水害や地震など災害の種類別に用意されていますが、あくまでも予想なので、場合によっては安全とされていた避難場所・避難経路も被災するおそれがあるため、注意しておきましょう。

また避難場所には避難所や自宅、知人宅、ホテル・旅館の他に以下の場所があるため、分散避難を考える上ではあらかじめ把握しておきます。

【一時避難場所】
一時的に災害による危険から身を守ったり、帰宅困難者が一時的に立ち寄る場所
【広域避難場所】
一時避難場所よりも広域な場所で、大学や公園、神社などが該当する

テレワークなどを実施し、オフィスに出社する従業員を減らす

災害発生時に帰宅困難者になる従業員をできるだけ少なくしておくためにテレワークやオフィスと在宅勤務を交互に繰り返すローテーション勤務を実施しましょう。

テレワークとローテーション勤務を日頃から実施しておけば災害発生時の帰宅困難者対策になるだけでなく、3つの密を回避できるため、新型コロナウイルス対策にもなるのです。

また災害はいつどこで発生してもおかしくないため、従業員の状況をすぐに把握できるようにテレワークやローテーション勤務を実施する際は法人向けSNSなど安否確認の手段を確保しておきましょう。

電話やメールでも十分だと考えている方もいるかもしれませんが、災害発生時は電話回線が輻輳状態に陥ることで通信規制が実施され、一時的に利用できなくなることが多々確認されているため、迅速な安否確認を実現するために電話やメール以外にも安否確認の手段を確保しておくと安心です。

企業・従業員が防災グッズを用意しておく

前述した東京都帰宅困難者対策条例で記載されているとおり、あらかじめ防災グッズを備蓄しておきましょう。一般的に電気・ガス・水道のライフラインの復旧や人命救助が落ち着くまでに3日ほどかかると言われています。

大規模な災害が発生した場合も想定して、3日分を最低限とし、余裕をもって1週間分の防災グッズを確保しておきましょう。

東京都帰宅困難者対策条例条例17号の対象となるのは、正規・非正規を問わずに同じオフィスで働く全従業員であり、全従業員分の防災グッズを用意しておくことが望ましいです。

【東京都帰宅困難者対策条例条例17号】
事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します

努力義務とは「〜するように努めなければならない」という意味であり、この条例を破ったことに対する罰則は現時点では設けられていません。しかし企業には以下の労働契約法第5条によって従業員に対する法的な安全配慮義務が課せられています。

【労働契約法第5条】
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする

コストが惜しいからと一切の防災グッズを用意していなかったことが起因となって従業員が被害を受けた場合、安全配慮義務違反として法的責任を問われ、損害賠償金を支払わなくてはならないため、できうる限りの防災グッズを用意しておきましょう。

また前述した分散避難で従業員が自宅を選ぶ際は、以下3つの条件をクリアする必要があるため、従業員の自宅にも防災グッズを確保しておくように促すことが大切です。

詳しく用意するべき防災グッズの種類を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

Withコロナで備蓄が不可欠な防災グッズの現状とその基本

リスク情報を把握しておく

災害発生時に従業員に対してどのような場所へ避難するべきなのかを直ちに判断できるようにするためには、災害などの情報をきちんと把握しておく必要があります。

警戒レベルなどの災害情報やテレビ・ラジオを確認しておくほか、近年企業や自治体でも災害などのリスク情報の収集で活用されているSNSも活用すると良いでしょう。SNSには主に以下3つのメリットがあり、災害などのリスク情報を把握するために役立ちます。

近年はニュースよりもSNSの方が早く情報が投稿されているケースが多々あり、その情報スピードの早さに着目した報道機関が取材のためにSNSが活用しているなど、SNSはテレビやラジオと肩を並べるほどの影響力を持っています。

しかし、これと同時に災害発生時は特にSNSに悪質なデマや誤った情報も投稿されやすいという側面もあるのが現状です。

企業や自治体の中にはSNSに投稿された情報を人力で分析しているケースもありますが、事実か否かの判断が難しくリスクの発生から初動対応の開始までに時間がかかりますし、大量に情報が投稿されていくため、どうしても必要な情報の取り漏らしが発生してしまいます。

SNSで有効にリスク情報を調査しつつも、こうしたSNS特有の問題を解決するために企業や自治体の間ではSNS緊急情報サービス「FASTALERT」などの導入が進められています。

BCPや防災対策などを目的としてすでに全ての民放キー局や大手報道機関、一般企業、自治体で幅広く導入されているFASTALERTは次の4つのメリットがあるため、迅速なリスク情報の収集と初動対応を開始することができるのです。

【FASTALERTの4つのできる】
・災害などのリスク情報がAIによってほぼリアルタイムで検知できる
・報道ではカバーしきれない地域などの細かい情報も入手できる
・1つのサービスで自然災害、事故、事件など幅広いリスクを調査できる
・現地に行かなくてもテキスト、映像、写真で状況が把握できる

迅速なリスク情報の収集は事業の被害を抑えるための初動対応を開始する上では必要不可欠なので、リスク情報の収集をスムーズに行いたいとお考えの担当者さまは、ぜひFASTALERT基本紹介資料から資料をお申し込みくださいませ。

【サービス資料で分かる3つの内容】
・これまでFASTALERTが検知した主なリスク情報一覧
・業種ごとのFASTALERTの活用シーン
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FASTALERTは、企業・自治体のお客様専用のサービスとなります。
※ソーシャルリスクレポートなどその他の資料は、こちらの資料ダウンロードからご覧ください。

最後に

これまでは企業に対して帰宅困難者となった従業員の一時的な帰宅の抑制が求められていましたが、必ずしもコロナ禍の現在では集団感染リスクの観点からそれが正解とは言い切れないのが現状です。

従業員に対する帰宅抑制によってオフィス内で集団感染を発生させないように、新型コロナウイルス対策を日頃から実施しておくことは前提にあらかじめ分散避難をするためにはどのような対応が必要なのかをよく把握しておきましょう。

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