コロナ禍におけるボランティア活動と浸透するガイドライン

コロナ禍の状況で自然災害が発生すると避難先などで集団感染が起こるおそれがあり、早急な対応が求められています。

そんな状況下でどのように被災者などの支援を行うボランティア活動を行えば良いのか分からず、困っている担当者も少なからずいるでしょう。

この記事ではそんな方のためにコロナ禍におけるボランティア活動の基礎知識とリスク、コロナ禍でのボランティア活動の対応などを具体的に解説していきます。

この記事を読むことで新型コロナウイルスを踏まえたボランティア活動のポイントが分かるので、ぜひ参考にしてください。

※本記事には現時点(本記事公開時点)の情報が含まれています。今後の動向や研究結果によって内容が変わるおそれがあるため、ご注意ください。
※2020年11月24日更新

コロナ禍で推奨される分散避難

新型コロナウイルスが蔓延している今の状況下で台風や地震などの自然災害が発生すると集団感染が増加することが危惧されています。

ほぼ同じタイミング、または復旧中に複数の災害が発生することを複合災害と呼び、自然災害による被害だけでなく、避難先での集団感染によって深刻な事態に陥るおそれがあるのです。

新型コロナウイルス対策が十分に行われていない従来の避難所では集団感染が発生しやすいことから日本政府が回避を求めている以下の3つの密を満たす傾向があるとされています。

そのため、避難所は新型コロナウイルスを踏まえた対応を早急に求められており、様々な対策が進められているのが現状です。

具体的には避難者同士のフィジカルディスタンス(身体的距離)を確保することを目的に避難所の収容人数を半減させる必要があり、自宅や知人宅、ホテル・旅館など様々な場所へ避難する分散避難が推奨されています。

ボランティア活動を行う上でのリスク

新型コロナウイルスの感染拡大が進む今の状況で適切な対策をとらないままボランティア活動を行うと周囲に感染が拡大するだけでなく、ボランティア参加者自身も新型コロナウイルスに感染してしまうおそれがあるのです。

朝日新聞が発表する「コロナ禍に大災害が襲ったら 避難所は、ボランティアは」で説明されているとおり、新型コロナウイルスの集団感染リスクを防ぐためにボランティアの縮小もしくは活動事態を自粛せざるを得ないケースも十分に想定されており、これによって復旧作業が通常よりも長期化するおそれがあるのです。

クロアチアで発生したコロナ禍+地震の複合災害

新型コロナウイルスが蔓延する状態での複合災害は発生しており、クロアチアの例があげられます。

CROATIA WEEKの「Tremors continue in Zagreb」で発表されているように2020年3月22日にクロアチアでマグニチュード5.5の大規模な地震が発生。

26,000棟以上の建物が損傷するなど深刻な被害を受け、市民はコロナ禍での避難をせざるを得ない状況に陥りました。

不幸中の幸いなことに世界的にも厳しく新型コロナウイルス対策を実施していたクロアチアでは、この避難によって新型コロナウイルス感染者が急増することはありませんでした。

しかし、コロナ禍の状況では思うように復旧作業が進まず、total croatia newsの「Post Earthquake Zagreb Restoration to Take Ten Years?」で説明されているように現在も復旧作業が続いている状況です。

コロナ禍でボランティア活動を行うためのガイドライン

前述した状況を踏まえて認定NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が2020年6月1日に「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるボランティア・NPO等の災害対応ガイドライン」を発表しました。

このガイドラインは内閣府を通じて全国の自治体などに共有されていますが、強制力を持つガイドラインではないため、自治体によっては対応が異なる場合があります。

このガイドラインの基本方針は、次の3点です。

  1. 被災した地域への支援は、地元の意向に配慮することを前提に対応を考える
  2. 支援は、被災した地域内での対応を中心に考え、原則として外部からの人的支援は遠隔での対応が主体となる
  3. 現地災害対策本部/行政等からの要請などがある場合、現地での支援に必要なノウハウをもった支援者が被災地で活動を行うことがある(災害の規模等により、現地からの要請ができない状況に陥った場合や、 地域内の共 助《助け合い》の能力を超えた場合においても、現地入りを行う可能性がある)

(出典:新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるボランティア・NPO等の災害対応ガイドライン

また社会福祉法人全国社会福祉協議会が2020年6月16日に発表した「新型コロナウイルス感染症に伴う諸課題への取り組み」でも、新型コロナウイルスによる集団感染リスクを防ぐという観点で、以下のように原則は広範囲にわたってボランティアを募集することは推奨していないとしています。

【ボランティアの募集】
感染拡大の懸念がある期間は、広域に幅広くボランティアの参加を呼びかけることは行わない。
(出典:新型コロナウイルス感染症に伴う諸課題への取り組み

コロナ禍におけるボランティア活動の対応6選

ここまでコロナ禍におけるボランティア活動の基礎知識を紹介しました。

次に前述した認定NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が発表する「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるボランティア・NPO等の災害対応ガイドライン」などに基づいて新型コロナウイルスを踏まえたボランティア活動の対応を説明していきます。

どれも重要な内容になるので、ぜひ参考にしてください。

新型コロナウイルス対策を徹底する

新型コロナウイルスの感染拡大を被災地で防ぐために、まずは以下の装備を確保しておきましょう。

ただし、前述した「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるボランティア・NPO等の災害対応ガイドライン」で説明されているとおり、人員不足によって外部の地域から被災地へ向かう場合は、必ず被災地に向かう前に準備しておきましょう。

理由としては現地の店舗での感染拡大を防ぐほか、現地の支援団体や被災者に品が行き渡らない事態を避けることなどがあげられます。

現時点で立証されている新型コロナウイルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染の2種類があります。それぞれの意味は、以下のとおりです。

【飛沫感染】
新型コロナウイルス感染者のくしゃみなどによって飛び散った飛沫(ウイルスを含んだ水分)を鼻や口から吸引して感染することです。
この飛沫の最大飛距離は約2メートルであり、これ以上離れていれば感染しないとされています。

【接触感染】
新型コロナウイルス感染者の飛沫に手で接触し、その状態で目・鼻・口などの粘膜に接触し、感染することです。
ドアノブや照明のスイッチ、貸し出される備品など不特定多数の方が触れる箇所には十分に注意する必要があります。

また新型コロナウイルスに感染していても主な症状が現れない無症状に陥るケースも確認されており、無自覚のまま周囲に感染を拡大させてしまうおそれがあります。

実際にCDC(アメリカ疫病予防管理センター)の「Presymptomatic Transmission of SARS-CoV-2 — Singapore, January 23–March 16, 2020」によれば、無症状でも感染を拡大させていたと考えられる事例が見つかっているのです。

そのため、マスクや使い捨て手袋はきちんと着用し、定期的なアルコール消毒を欠かさずに行うようにしましょう。

詳しく新型コロナウイルスに対するマスクの効果や消毒の方法を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

新型コロナウイルスに関するマスクの効果とその基礎知識
新型コロナウイルス対策で消毒が有効とされる理由

同じ地域でボランティア活動を行う

前述したように新型コロナウイルスが被災地だけでなく、県外にも感染が拡大してしまうリスクがあるため、原則として同じ地域内のみでボランティア活動を行いましょう。

被災地以外の別の地域からボランティア活動に参加する場合は、支援物資の提供など遠隔での対応が必要となります。

もちろん被災地の被害や人員の状況によっては、外部の団体が現地入りが要請される場合もあるので、新型コロナウイルス対策を前提に現地でのボランティア活動を検討すると良いでしょう。

人数制限など被災地側でルールが定められていますが、現地での集団感染を防ぐために十分に注意しましょう。

前述したように飛沫感染の最大飛距離は現時点では約2メートルであると考えられているます。

そのため、人同士の十分なフィジカルディスタンス(身体的距離)の確保が求められており、密集する状態を避けて必ずマスクを着用しましょう。

またCDC(アメリカ疫病予防管理センター)が発表する「Interim Clinical Guidance for Management of Patients with Confirmed Coronavirus Disease (COVID-19)」によれば、新型コロナウイルスの潜伏期間は14日間であり、平均では4〜5日程度で発症することが多いと考えられています。

被災地から別の地域に戻ってきた場合、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために潜伏期間である14日間は自宅待機などを行うと安心です。

迅速で的確な情報収集を行う

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、被災状況の確認などで現地に向かうことは基本的にせず、特別な要請がない限りは現地の行政や支援団体などからの情報をオンラインで把握するようにしましょう。

情報収集の手段は様々ですが、被災状況の確認などで以下3つのメリットがあるSNSが個人間だけでなく、自治体や企業でも利用されています。

さらにSNSは情報発信の場としても有効であり、支援・救助要請なども被災中は行われています。

実際に2011年の東日本大震災では宮城県気仙沼市の公民館で救助を求めるツイートが東京都副知事(当時)・猪瀬直樹氏の目にとまって、ヘリで救出できた事例もあります。

また地域周辺の情報も遠隔で調べる上でも役立つSNSですが、悪質なデマや誤った情報も拡散されやすいという問題点も同時に抱えているため、情報の正誤を確認することが重要です。

ボランティア活動のルールを定める

ボランティア活動を始める前にあらかじめ新型コロナウイルスを踏まえたルールを策定・浸透させておくことが重要です。

前述した「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるボランティア・NPO等の災害対応ガイドライン」によれば、ルールの例として以下の内容をあげています。

ボランティア活動を始める前に必ず検温などを行う必要がありますが、前述した無症状によって発熱症状がみられない状況に陥るケースも十分にあります。

発熱症状があるかどうかは、あくまでも1つの目安であるため、無症状による新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには総合的に体調を把握することが大切です。

連絡・相談先にはボランティアの組織内はもちろん、医療施設・保健所や行政、保険会社などがあげられます。

この連絡先や相談体制がきちんと連携されていないと万が一、メンバーが新型コロナウイルスに感染してしまった場合に根拠のない風評被害が発生するおそれがあるため、注意しましょう。

またボランティア活動の一環として避難所の運営に携わるケースも想定されます。

そのため、新型コロナウイルスを踏まえた避難所の運営方法を事前に把握した上で、被災地の避難所で定められたルールに従うと良いでしょう。

例えば認定NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)避難生活改善に関する専門委員会の「新型コロナウイルス避難生活お役立ちサポートブック」で説明されているように新型コロナウイルスの集団感染を防ぐためには、避難者の状態に合わせてゾーニング(居住区分)したスペースへ案内することが大切です。

同サポートブックによれば、以下のようにゾーニングすることが求められています。

【ゾーンA:感染者】
医療機関や個室を用意できる宿泊施設へ案内する

【ゾーンB:濃厚接触者・症状のある方】
濃厚接触者と症状のある方のスペースは分けて、専用の部屋または個室が確保できる宿泊施設に案内する

【ゾーンC:高齢者・妊婦・乳幼児】
福祉避難所もしくは福祉スペースに案内する

【ゾーンD:基礎疾患を抱える方やその他の方】
一般スペースに案内する。基礎疾患を抱える方の場合は、運営スタッフが定期的に様子を見る

新型コロナウイルス感染者は、医療機関へ移送することが原則ですが、大規模な災害によってやむを得ない場合は、ゾーンAを確保しておく必要があります。

また新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために複数の建物があればゾーンを全て別棟にしたり、他に建物がなければ別階にするなどの工夫をすると安心です。

ここでは簡易的な紹介となりましたが、さらに詳しくコロナ禍における避難所の運営方法を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

コロナ禍における避難所運営の基礎知識と具体的な対応6選

保険に加入しておく

万が一のために備えて保険に加入しておきましょう。ボランティア活動でトラブルに遭った場合に役立つ保険は以下の3種類です。

【ボランティア保険】
ボランティア活動を行う中での怪我や他者の身体・財物に損害を与えてしまった場合などに補償される保険

【国内旅行保険(外部から被災地へ向かった場合)】
被災地で負傷や盗難などトラブルが発生した場合に補償される保険

【労働者災害補償保険(労災)】
ボランティア活動に参加していた企業の従業員が負傷や疫病に感染するなどのトラブルが発生した場合に適用される保険

これまでボランティア保険は新型コロナウイルスに関しては第1種〜第3種特定感染症に当てはまらないため対象外となっていましたが、2020年5月1日に商品改定が認可され、同年2月1日に遡って補償が適用されるようになりました。

ボランティア活動で新型コロナウイルスに感染した場合、現時点では以下の補償が受けられます。

ただし、ボランティア活動の中で新型コロ因果関係が認められなくてはならないため、注意してください。

労災は企業が命じたボランティア活動なのか、それとも従業員が自主的に行なったものなのかによって適用されるかどうかが変わります。

企業が従業員に対してボランティア活動を命じて被災地で被害を受けた場合は、業務中に発生した被害であると判断されて労災が認定される可能性が高いです。

企業の従業員が自発的にボランティア活動に参加していた際に被害を受けたケースでは、業務ではないと見なされて企業に責任が問われることはありません。

ただし、従業員の自主的なボランティア活動でもそこに企業側から事実上の強制力があれば、業務命令だと判断されるため、注意しましょう。

また労働災害が発生した場合は、以下の「労働安全衛生規則」の第97条によって労働者死傷病報告が義務づけられています。

【労働安全衛生規則第97条】
事業者は、労働者が労働災害その他就業中または事業所内もしくはその他附属建設物内における負傷、窒息または急性中毒により死亡し、または休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない

労災の申請は義務付けられており、労災隠しは違法となるため、発生した場合は速やかに届け出ましょう。

さらに詳しく労災を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

労働災害を防止するために覚えるべき基本と効果的な対策5選

宿泊・移動手段を明確にする

被災地で新型コロナウイルスによる集団感染を防ぐためには、宿泊や移動手段を明確にし、不必要な移動に注意しなければなりません。

前述した「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるボランティア・NPO等の災害対応ガイドライン」で説明されているとおり、宿泊・移動手段に関しては以下のような対応が求められています。

上記のほか、前述した新型コロナウイルスの接触感染を防ぐためには使用した車やスペースを定期的にアルコール消毒しておくことが重要です。

リスクによる被害を最小限に抑えるために!リスク情報の収集で活躍するFASTALERT

自然災害などのリスクによる被害を最小限に抑えるためには迅速にリスク情報を把握しておく必要があり、万が一リスク情報の確認が遅れると初動対応の開始が遅くなるため、被害の拡大へつながるおそれがあります。

しかしリスクには自然災害だけでなくシステム障害、事故など多くのリスクがあり、被害を抑えるために多くのリスクを収集しようとすればするほど、人的・時間的コストがかかりますし、人の目ではどうしても必要なリスク情報の取り漏らしが発生してしまいます。

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まとめ

今回はコロナ禍におけるボランティア活動の基礎知識とリスク、求められる対応などを紹介しました。最後にもう一度おさらいすると本記事の重要なポイントには次の3点があげられます。

この記事を参考にして、新型コロナウイルスを踏まえたボランティア活動を行いましょう。

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